ZINGIは、リーダーのMC仁義、凱(GUY)、MAR、DOHZI-T(童子-T)、DJ BASS、GM KAZからなるHIPHOPグループ。1989年にECD主宰のイベント"Check Your Mike"で優勝し、渋谷クアトロでHIPHOP勢として初のワンマンライブを成し遂げるなどの実績を持つ。本作は3rdアルバム『夢』でロックに寄った方向性を再びHIPHOPに戻し、それによりDOHZI-Tもカムバックした、満を持しての4thアルバム。1996年2月21日発売。
そのことと前述の言動と結果が一致したことによる頼もしさが相乗して、本作でのAK-69はとにかくラップで唸らせてくれる。 "空気? 読む必要ねぇ どこでも持ち込む俺んたの流儀 ハリウッドでも日本にいるみたく振舞うぜよろしく"(「Hollywood」) "これともすれば国家問題だぜ 用意はいいか焦る首相"(「The Red Magic」)なんかのリリックは、いかにもハーコーラップらしい尊大なオラオラ感に加え、これらのラインをドカンと耳に押し込んでくるだけのラップの力強さをAK-69が備えたからこそ、強烈に印象に残ってくる。
地元のフックアップシットである「SOLDIER SONG」を除き、ANARCHYやMACCHOといったパワープレイ要員に限定したゲストラッパーも、それを更に補強するだけのパンチを真正面から打ってくる。「I.M.P.」でのANARCHYなんて、「24 Bars To Kill」でも一切魅力を感じなかった僕の中のANARCHY評を久方ぶりに上げてくれた。日本でラップスキルの極致に最も近い一人・MACCHOに至っては、過去最高の調子で飛ばす本作のAK-69すら食う勢いだ。OZROSAURUSの4th以降続く彼のハイトーンボイスは、徐々に洗練された結果、以前よりリリックが耳に届くようになったと感じるので個人的には大歓迎。