RATID -Realize A Thing In The Depths-

新年度からは下ネタを言わない。
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Nasty / acharu


1.Rain to the Rainbow Produced by Takacha
2.さよならMy Boo Produced by acharu
3.忘却の彼方 feat. なのるなもない(降神) Produced by acharu
4.ICE RAIN feat. NIPPS&B.D(THE SEXORCIST) Produced by DJ GRADIS NICE A.K.A. K-MOON X (THE SEXORCIST)
5.Skit feat.NIPPS
6.TENKUUuuu!!!  Produced byY.P.J
7.City Light feat. D.O(練マザファッカー) Produced by YOUICHI(NIGHT CAMP CLICK)
8.PAIN Produced by Takacha
9.Voice feat. BRON-K(SD JUNKSTA) ZIGHT(NIGHT CAMP CLICK) Produced byY.P.J
10.Skit (Sky walking) Produced by acharu
11.FREE Produced by acharu
12.Fly away .Produced by acharu
13.Eazy come Eazy go feat. Takacha Produced by SKYBEATZ
14.さよならMy Boo[Takacha remix] feat. マイクアキラ(四街道ネイチャー) Produced by acharu,Remixed by Takacha

★★★★★★★★☆☆

マイクアキラの設立したレーベル「首脳組」からの第一弾アーティストであるフィメールシンガー&ラッパー・acharuの1stフルアルバム。2010年6月1日発売。

マイクアキラのレーベルから先鋒として飛び出してくるのだからどんなキワモノラッパーなんだろうと構えて本作を手にしたが、意外にもかなり真面目な作品。そもそも彼女がラッパーであるという僕の認識が間違っていて、シンガーとしての部分がメインなんだね。

そしてHIPHOPのビート上で奏でられる起伏の少ない歌声は、やや残るおぼこさをそこに加えて、やや前時代的な、例えばMIHOやKAANAの作品を思い起こさせてくれる。歌っているテーマはほとんどが同じで、基本的に辛い状況下で前を向こうとする姿勢を描いてる。しかしその歌にはラッパーがメインで片手間に歌ってる人たちにありがちな自己主張の強さも無ければ、聴き手に対する説諭も無い。淡々とした自己完結型の歌詞が押しつけがましくなくて良い。COMA-CHIがやるのともRUMIがやるのとも違う、「主張を聴かされてる」感(それが良い悪いじゃなくて)がほとんどなくて、凄く新鮮、かつ懐かしい。それだけに、逆に自己本位にならざるを得ない自身のラップパートはもっと少なくしても良かったんじゃないかとも思うけれど。acharuが歌だけに徹するアルバムになってれば、もっと余計な色々なものが目減りしたんじゃないかと思う。

しかしそれでも僕がこの作品が大好きなのには変わりない。地味に衝撃参加のタカチャプロデュース「Rain to the Rainbow
」、同じくタカチャ作でアコギがあからさまに感情を揺さぶる「PAIN」や、セルフプロデュースのさよなら My Boo」といったソロ作はほぼ歌一本で、先述した懐かしい歌バムの雰囲気が充満している。そして客演の使い方も上手い。BRON-Kはまだしも、ZIGHTもその荒ぶる声を潜めてacharuの切実なヴォイスにトーンを合わせる「VOICE」はこの組み合わせに抱く期待を裏切らない出来だ。また、 "楽しみは笑いで膨らませ 悲しみは涙で吹き飛ばせ" とこれまでのacharuの葛藤を全部シンプルに解決してくれる、タカチャの現代的な緩さがアルバムを大団円に纏める「Eazy come Eazy go」は、Skybeatzの仕事もさすがで、アルバムの流れとしてはこれ以上ない締め方だと思う。

更に「City Light
」に触れないわけにはいかない。YOUICHIの素晴らしい泣きのトラックとacharuの相性が良すぎて、「これにD.O.が入ってブチ壊しになるのだけはほんと勘弁!!」と思っていたのだけれど、D.O.も予想外に上手く立ち回ってた。この人は実は何でも器用にこなせるんだね。 "罪と罰よりも君とダンス you know" みたいなリリックを潜ませてくるあたりもエンターテイナー。この曲は2010年上半期のベスト候補のひとつでしょう。

でも、しめやかな「
ICE RAIN」で、自身のグループであるThe Sexorcistの自慢をするだけで、あげく "お前のプッシーに十字架刺すぞ" とか言っちゃうNIPPSは本当に酷いと思った。B.D.だって流れを読んで綺麗に流してるのに!!その後任された「Skit」でも、意味不明な言葉をひとしきり喚いたあと、 "ま○こ" と言って終わらせるなんて、新人の女の子のアルバムでベテランラッパーのやる所業じゃない。前からわかってたけど彼はもうダメだ。もちろんすべて褒め言葉。

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11:24 | acharu | comments(3) | -
THE BEST OF JAPANESE DJ Vol.1 / V.A.


1.Introduction (DJ TAKADA) 
2.Real Cuts (DJ TA-SHI) 
3.DJ MIHO (DJ MIHO) 
4.Going Back To The Old School (DJ MA$A) 
5.Interlude
6.Theme Of GM YOSHI (GM YOSHI) 
7.F.L.O.W (Y.MATSUSHITA from SOUL SOURCE INC feat KEN&UIKE) 
8.4Xtra Mutha Phukaz (DJ P.M.X.feat.DS455(SHALLA,MACCHO,Kayzabro)./BOY KEN)
9.Interlude
10.ヤバスギルスキル・パート2~Remix (INDOPEPSYCHICS feat RAPPAGARIYA Skipp) 
11.LAW (ROCK TEE feat KREVA from By Pher the Depest) 
12.DJ BEAT3 On The Mellow (DJ BEAT)
 

★★★★★★☆☆☆

名作コンピ「
THE BEST OF JAPANESE HIPHOP」シリーズからの派生コンピアルバム第1弾。1996年3月21日発売。

一部を除き、あまり名を聴いたことの無いDJ達のインストものは、そのタイトルの数々からも伺えるように、まさに「作ったことに意義がある」といった趣。キチッとマニュアルを守った王道中の王道感がこの時代の日本のHIPHOPらしいと言えばらしいが、今聴くと物足りないのも事実だ。サイドキッカーを務めるGDX(だよね?)と併せて様々な仕掛けを仕込んでくるDJ MA$Aの「
Going Back To The Old School」は聴いていて中々楽しい。DJ BEATによるメロウなビートと声ネタの合わせ方がいかにも「わかってる」感じの「DJ BEAT3 On The Mellow」も、以降の息の長い活躍を予感させる仕上がりだ。インストで楽しめるのはこの2曲くらい。

一方で、それぞれが盟友と組んだラップ入りの曲に関しては盤石の出来と言える。ピーヒャラシンセもビートの打ち方も完全にG-Funkの亜流な、PMXの「
4Xtra Mutha Phukaz」はMACCHO,SHALLA,Kayzabroが揃い踏みという時点で聴く価値があるし、落ち着いたマイクリレーも、派手さは無いがさすが息が合っている。終盤をひとり占めして誰の曲かわからなくさせるBOY-KENがいなけりゃもっとスッキリして良かったのだけれど。ROCK-TEEとKREVAによる「LAW」も、FGらしいオトボケなトラック(でもビートはファット)に乗せてべシャりまくるKREVAのラップが聴かせる。単語で細やかに踏んでいくフロウは、そのライミングこそ今では新鮮さを失ってしまったが、代わりに小気味良さが当時独特のもので聴いていて楽しくなる。 "そこで宣言 「オレがこれから六法全書  方々を占拠」オレの名前はKREVA" あたりはさすがは後のラップスターといった盤石のマイク捌き。

また、Y.MATSUSHITAとKEN,UIKEという初めて聞く名前の3人による「
F.L.O.W」は、その知名度の低さ(僕が知らないだけで有名だったのかもしれないが)に反して、非常に良く出来ている。そのタイトルのようにフロウを楽しむには現代ではいささか無理があるが、温かみのあるソウルフルなトラックは本作でもピカイチだし、 "退屈が退屈と提示されつつ 退屈に流される様見守る 示すのは「それ」が「それ」ということ" など、詞にこだわろうとしたラップも、凡百に埋もれず耳を傾けさせる。後に同名のシングルにも収録された、ラッパ我リヤとINDOPEPSYCHICS「ヤバスギルスキル・パート2〜Remix」は割愛。

結局ラップ入りの曲の出来が圧倒的に良いという皮肉がこのシリーズが長続きしなかった理由かもしれないが、少なくとも後追い組にとっては、ベテランたちの希少価値の高い初期音源が収録されているという点で、このコンピが果たした役割は小さくない。
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00:01 | V.A.2 | comments(1) | -
SKILL& CONCEPT /だるまさん


1.Back Again    
2.覚醒    
3.Kick In The Door    
4.宇宙人 feat.ERONE (from 韻踏合組合)    
5.独身貴族    
6.永遠を約束    
7.続・宇宙人 feat.MINT (元・韻踏合組合)    
8.エリーゼの為に     
9.Rolling Man    
10.まだ反抗期    
11.My Life  
12.南無達磨裟婆訶


★★★★★★★★☆☆

元韻踏合組合のOHYA改め達磨様改めだるまさんの2ndフルアルバム。2010年7月21日発売。

1stアルバム「
How To Ride」のレビューで、「韻踏脱退組は各々の持つ特徴の部分のみに極端にスキルポイントを振り分けるようなソロ活動をしている」というようなことを書いて、だるまさんの歌フロウへの傾倒もそこに位置付けることが出来ると述べたが、本作はそんなソロ活動の集大成となる作品と言えるだろう。

その混沌とした歌い上げるフロウは、本人の言葉を借りて言えば、まさにMissy Elliot×Method Man×Ludacris÷だるまさんといったところ。そのため、本作は「韻踏時代のOHYAのソロアルバム」を期待して聴く作品ではなく、「
How To Ride」で開けた道をまっすぐ歩き続けた結果としての、例えば「Under Construction」の、「How Highの、「Money Maker」のカテゴリに位置付けるべきアルバムだ。特に「歌モノ」としての構成に一番こだわった作りの「Kick In The Door」でのふっきれたようなフロウや、反則なトラックの上で見事なリズム感を示して見せる「エリーゼの為に」(これ一番好き)、サビで仕留めにかかる「独身貴族」あたりは、本作のSKILL&CONCEPTを最も上手く体現した楽曲だろう。

そしてそうしたフロウのサンプリングを踏まえた上で、それでもあくまで高頻度のライミングや、そのリリックトピックに「日本のHIPHOP」として楽しむ素地がある。それはAKIO BEATSとの「
南無達磨裟婆訶」はもちろん、相変わらずイカつい側面を見せる逆ギレSHIT「まだ反抗期」、ミンちゃんの本気を正規音源で久しぶりに引き出した「続・宇宙人」でも感じられる。この曲のミンちゃんは、短いながらも久しぶりに変態チックな飛び方をしてて喜ばしい限り。

歌フロウに傾倒した結果として、リリックの聴き取り易さが減退している点は残念だが、元々純度100%なラップアルバムとしての需要を追求したアルバムではないため、それは覚悟の上での選択だったのかもしれない。「
How To Ride」での方向性を是とするリスナーには、前作より響く内容じゃないだろうか。
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13:30 | 達磨様 | comments(0) | -
NEW OLD STOCK / TWO-J


1.NEW OLD STOCK 
2.STILL GROOVIN’ feat.AK-69 a.k.a.Kalassy Nikoff 
3.STREET HAVE... 
4.SELF CONTROL 
5.BIG PLAYERS feat.KSKtheONE 
6.WOO!!HATERS!! feat.GHETTO INC. 
7.HOLIDAY IN RESORT feat.HOKT 
8.TWO FACE 
9.MONEY 
10.I NEED U feat.KSKtheONE 
11.SURF ON THE BEATS 
12.MUCH LOVE feat.BIG RON

★★★★★★☆☆☆☆

プロデューサーとしても活躍する愛知のソロマイカー・TWO-Jの2ndアルバム。2007年6月13日発売。

チカーノ系のトラックからG-Funk、純メロディアスなトラックまで、手広くこなしてみせるそのトラックメイカーとしての手腕は、このジャンルの中でも上位に食い込むレベルにあるだろう。TWO-Jのラップそのものは、リリックに深みの無い中学英語が並ぶこともあって、じっくり聴き込めるタイプの作品ではない。しかしこの手のジャンルを「そうしたもの」として割り切って聴ける方にとっては、その音のレベルと併せて、この時期に流して聴くにはもってこいの楽曲も多い。

1曲目に相応しい勢いを纏った「NEW OLD STOCK」、AK-69&B-NINJAH「
Move On -Remix-」の流れを汲んだ掛け合いが良い「STILL GROOVIN'」、ヴォコーダー担当のKSKtheONEと思いっきりメロウに振った「BIG PLAYERS」、「I NEED U」あたりは、その需要にキッチリ応えてみせた佳曲と言える。

その一方で拙い日本語のリリックが馬脚を晒す曲がアルバムの清涼感に水を差している部分が多いのも事実だ。アーティストに対する要求としてはこの上なく失礼なのは承知だが、自身の持つリスナー層の需要に応えるという意味では、「SELF CONTROL
」のように、無理にリリカルに攻めようとする楽曲は排除しても良かったと思う。このジャケットを見て、夏のカーステで聴くこと以外を当て込んで買うリスナーなどそれほどいないだろう。

中でも、アルバムの清涼感を台無しにしたという意味では、2chディス曲の「
WOO!!HATERS!!」はもうなんか色々と酷い。アルバム中で浮いているのはもちろんだ。そしてそれ以上にげんなりする点がひとつ。これは2chで好き勝手に悪口を言っていたオタク気質なリスナーをボコボコに締め上げて謝らせるという内容の曲なのだが、その脳内妄想で好き勝手に相手を攻めることこそ、あなたたちが2chに怒ってる最たる理由じゃないの??と思ってしまう。この曲じゃその仮想2ちゃんねらーと同じことをやってるだけじゃないのかなぁ。

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10:51 | TWO-J | comments(0) | -
M's UP! / M Fingaz


1.INTRO produced by YMG 
2.ENTER THE M produced by JASHWON 
3.F**K YOU produced by KURABEATS 
4.NEW DAY produced by FLAMMABLE 
5.PAY BACK produced by HASSY THE WANTED 
6.STREET RYDER produced by BUCKFIRE 
7.M's UP! produced by JHETT a.k.a.YAKKO 
8.M★BOOGIE pt.2 produced by MURO 
9.44 KILLA BEEZ feat. MAILMAN, KGE, JBM produced by R-BEATS 
10.AHAHAHA produced by KURABEATS 
11.SPREAD DA HOOD produced by LOSTFACE 
12.FREE produced by MACKA-CHIN 
13.HATE or LOVE produced by TEE$HU
 

★★★★★★☆☆☆☆

千葉、茨城を繋ぐ常磐線周辺で活動を続けるTEAM44 BLOXから、MIKRISとMARS MANIEによるM Fingazのタッグアルバム。
2010年6月16日発売。

MIKRISとMARS MANIEなんていう誰得な両生類フロウの使い手タッグが送り出す、B級感プンプンなこのジャケット(ハッキリ言ってダサい!!)。それでもHIPHOPの裾野が間違いなく広がっている昨今において、なお僕が文句垂れつつこの手の作品を懲りずに買い続けるのは、僕を本格的にHIPHOPに引き入れてくれたNITROの匂いがやっぱり懐かしくなるからだ。そしてこのアルバムは、ひとり歌に目覚めたDELIや、コンシャスネスを前面に押し出そうとして盛大に横転したSUIKEN
DEVELOPMENT」、S-WORD「KING OF ZIPANG」といった近年のNITRO作品よりは、ずっと本来のそのノリに近い。

もちろん支離滅裂なリリックがNITROほど溢れているわけではないし、この2人の昔の作品と比べても何が劇的に変わったわけでもないのだけれど、逆にその愚直さが潔くて、僕はやっぱりNITROの残り香を求めて、ここに足を踏み入れてしまう。そして若手のトラックメイカー陣よりもYAKKOのドラマティックトラックが久々にうなった「
M's UP!」、HASSY THE WANTEDのダウナーなノリが作中のアクセントになっている「PAY BACK」、自身の曲名を2人に譲ったMUROの「M★BOOGIE pt.2」といった往年の担い手との曲が元気だと嬉しくなる。そしてそうした中で、これからを担っていく面々が切迫感溢れるビートの上でキチッとキメた「44 KILLA BEEZ」は頼もしかった。特に音に綺麗にハメたJBMのヴァースはスカッとする。

MIKRIS、MARS MANIE共にラッパーとしてのアクは薄まる傾向にあるが、それでもやっぱり好き嫌いの別れるタイプであることは否定出来ない。また、NITROは好きだけど、2000年から付き合ってきたこのノリにはいいかげん既視感しか感じないというリスナーもいるだろう。そうしたこれまでのスタイルに辟易している方には、この作品もその延長上にあるアルバムであるとして、オススメしない。でも僕のように、それでも懐かしいあの初期衝動の片鱗を追い求める方にとっては、やっぱり聴く価値はあるんだろうと思う。ポッと出感の強いユニットであった割には、クセの強さは適度に抑え、コンパクトにまとめたことで、少なくともアルバムとしての完成度は低くない。

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02:24 | M Fingaz | comments(0) | -
ANTI-HERO / SKUNKHEADS


1.the one 
2.stone haze 
3.black rain 
4.ah-choo 
5.beat maker 
6.under me sinsemia 
7.pain in the head 
8.black death 
9.here we are 
10.glamourous joint 
11.over the edge
 

★★★★★★★★★

THINKTANKのBABAとMatsu"ZAKI"hazu(GUITAR&NOISE)、keita morisawa(DRUMS)から成るSKUNK HEADSの1stフルアルバム。2010年1月20日発売。

結局「黒さ」なんていう凄く曖昧な概念に僕がこれだけ捉われるのは、そこに努力や理論で到達出来ない、圧倒的なセンスの差を感じる何かがあって、それが届かないが故にあまりに崇高で、でもそれは雲の上のものとして崇める信仰対象としてはあまりにもスノッヴで、故にそれを「アンダーグラウンドミュージックの魅力」と呼ぶことが出来るからだ。そしてこのSKUNKHEADSは、BABAを筆頭としてそんな「黒さ」の集合体だ。

それは生来備わっているものだから、彼らにとってはその一挙手一投足が、当たり前に黒い。サンプルとベースと、ビョンビョン奔るギターとドラムが好き勝手に主張し合う「
ah-choo」みたいなインストもので既にドーペスト。BABAの "SKUNKHEADS!!" の叫びが卒倒しそうなくらいカッコ良い「the one」や、SOIL&"PIMP"SESSIONSのTABU ZONBIのトランペットもついでにイカレた抜きのビートが渋い「beat maker」など、本当にどの曲のどの部分の、どの音を切り取ってみても全く他のパーツとの調和性なんてものは無くて、それがいちいちカッコ良い。「under me sinemia」みたいなトリップホップ調まで平然とこなして、ついでに黒いオーラで覆って見せる。

こんなの聴いてたら喜んでダークサイドに堕ちるよ。友達といる空間や明るい太陽の下、雄大な自然の中など、およそ道徳的な感情が清浄化されそうな環境下ではこの音楽は微塵も威力を発揮しないけれど、ひとたび孤独になれば、ひとたび心に暗いものが宿れば、その仄暗い炎をどんどん炎上させてくれる。特にラスト3曲「HERE WE ARE
」、「GROMOUROUS JOINT」(1分強のインスト)、「OVER THE EDGE」はどれもが名曲で、今年聴いたHIPHOP(と括って良いのか??)の中でも飛び抜けてお気に入りだ。「PAIN THE HEAD」もそうだけど、いちいち音のひとつひとつもBABAのラップも体に悪そうで、もう病み付き。

そんなドープネスを伝える有効な方法を伝えようとするたび、今まで「黒さ」としか表現出来ない僕の語彙力の無さを恨みもした。でもSKUNKHEADSの本作には、他に言葉が思い浮かばないし、この表現が間違っているとも思わない。断言しよう。このアルバムは黒い。

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23:53 | SKUNKHEADS | comments(2) | -
DEVELOPMENT / SUIKEN


1.BRAVE HEART Produced by JASHWON
2.R U READY ? Produced by GOLBY$OUND$
3.DON'T STOP ! Produced by ITA-CHO a.k.a. Mr.ITAGAKI
4.DRIVE ME CRAZY Produced by KURA
5.TOKYO PARTY feat. DABO&RYUZO Produced by JASHWON
6.G,G,G(Gorgeous Go Getter) Produced by MACKA CHIN
7.深夜のバッティングセンター Produced by GOLBY$OUND$
8.F**K YOU Produced by DJ TAIKI
9.SO FAR SO GOOD Produced by LOSTFACE
10.AROUND THE WORLD Produced by LOSTFACE
11.SMILE&CRY Produced by MALIC
12.STILL FEEL ME Produced by ITACHO a.k.a. Mr.ITAGAKI
13.SURVIVOR Produced by DJ WATARAI
14.DEVELOPMENT Produced by YELLOWDIAMOND
15.GOOD NIGHT Produced by JHETT a.k.a. YAKKO

★★★★★☆☆☆☆☆

SUIKENの4年ぶりとなる4thアルバム。2010年6月23日発売。

作品を出すごとにクオリティが右肩下がりになっていく。何がダメってSUIKENのラップがダメだ。売り出し中の若手から馴染みのベテランまでが届けるストレートなHIPHOPサウンドはそんなに悪くない。ただ、それを乗りこなすSUIKENのフロウがあまりにフラット。こんなに凡庸なフロウだったっけ??声を張り上げながら音の上を躍動した全盛期の頃の彼の姿は面影すらなく、ひたすらにダラ喋りするだけのラップがメトロノームを聴いているときのように眠気を誘う。

それに加え、NMUの「ラップしてる、その事実自体に価値がある」と言わんばかりのスタイルを補強していた、SUI-SLANGと称される支離滅裂なリリックも跡形すら無い。インタビューによると「HIPHOPの4大文化をラップでレペゼンしにかかった」らしい。そのためか具体的で意味の通る言葉だけが並ぶが、それが武器のアーティストじゃないだろと思う。今までのソロ作ではそのSUI-SLANGでも曲を埋めるのに苦労していたのに、今まで散々聴いたような凡庸でありきたりなHIPHOP啓発の言葉が、客演をほとんど迎えずにダラダラと連ねられている。SUIKENのリリックが好きだった人にもフロウが好きだった人にも、この作品は果たして需要があるのだろうか。あえて自らの武器を完全に封印してもがき歌う様がHIPHOP的と言えばHIPHOP的なのかも…いや、ないか。

結局、やりすぎとも言えるトラックの勢いに引っ張ってもらえた「
SURVIVOR」の終盤の盛り上がりと、YAKKOらしからぬシンプルな泣きのトラックが良い「GOOD NIGHT」がかろうじて良いと言えば良い…のかな。SUIKEN×S-WORD「Hybrid Link」なんかは物凄く好きなだけに、本作の荒野のような見るべきところの無さは悲しい。

追記:RYUZO、発声が変わった??

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02:06 | SUIKEN | comments(2) | -
あんなことやこんなことも簡単

ネットを舞台に様々なアーティストがフリー音源や既存曲のリミックスを発表していますが、
リミックスものの中でも、この2曲は原曲超えを達成していると思えるくらい大好きなのでここで紹介したいと思います。



Butterfly City Remix feat.AKLO,BAN,KLOOZ

フリーダウンロード音源で名を挙げた面々によるリミックス。
原曲はサウンドありきの楽曲でラップが中々耳に入ってこなかったけど、このリミックスでは3人とも現代っ子的なフレキシブルさを発揮していて、ラップを楽しむ素地も十分。
3人ともあの音の上でよくあれだけ自由に動き回れるもんだ。全員テクニカル。



Once Again Remix feat.抹,コカツテスタロッサ,オロカモノポテチ

まだ十分に日の目を見ていない若手にこそ、この曲のテーマは良く似合う。
そう思ってRhymesterの原曲はあまり好きになれなかった僕にとって、このリミックスはその飢えを満たしてくれる1曲でした。
ラストのオロカモノポテチはヴァース丸ごとパンチライン。
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10:10 | 雑談 | comments(0) | -
WHALABOUT? / S.L.A.C.K


1.Sin Son(In) 
2.Walk To Back 
3.That's Me 
4.Drunk 
5.閃き 
6.NEXT (pro Budamunky) 
7.適当 
8.I'm Home (pro Budamunky) 
9.意味なんてないさ 
10.子供の頃 (pro 16Flip ) 
11.逆流 Feat. 仙人掌 
12.Many Thin 
13.Another Lonely Day 
14.Skate Trip (Out) 
15.笑えれば 

★★★★★★★★☆☆

S.L.A.C.K.の3rdアルバム。2009年11月18日発売。

自らのラップと音とを照らし合わせて、意図的にグニョグニョのアンビエントアルバムに仕上げた前作から9か月。基本的にセルフプロデュースで済ませる姿勢は本作でも変わらないが、音の手綱を手放さないことで、自らのスタイルを貫きつつも前作とは大きな変化をつけることに成功している。

前作のレビューで「トラックをオーソドックスに済ませることで、よりアンビエント感を演出している」というようなことを書いたが、本作でのS.L.A.C.K.はそれとは正反対に、トラックをよりテクニカルに仕上げることで、自らのHIPHOPミュージックとしての底力を誇示している。ほとんど舞台設定が休日になっている自堕落なリリックこそ変わらないが、そのラップを載せるのは短く切られた変則的なループだったり、電子音を多用したものであったりと、前作と違い、音と言葉の反発力を推進力に置換している向きがある。

そのため本作ではS.L.A.C.K.のラップがただの怠惰ラップではなく、HIPHOP的にかなり高度なスキルに裏打ちされたものであることを実感出来る。珍しく強い自己主張を潜ませた「
That's Me」や、逆に諦観めいた思いがいくとこまでいった「意味なんてないさ」を筆頭に、一見隙だらけだがよくよく見てみると綿密に織り上げられた楽曲だらけ。休日に聴くのに適している前作とは異なり、何気に他のイケイケHIPHOPと混ぜ合わせて聴ける、挑戦的な魅力も備えた快作だ。そのネチャネチャしたラップを、そんなに変幻自在に操れるなんて!!

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23:04 | S.L.A.C.K. | comments(4) | -
My Space / S.L.A.C.K.


1.Intro(Welcome To My Space)/Pro. S.L.A.C.K.    
2.Good More/Pro. S.L.A.C.K.    
3.Train On The Tokyo/Pro. S.L.A.C.K.    
4.I Know About Shit/Pro. S.L.A.C.K.    
5.Deep Kiss/Pro. S.L.A.C.K.   
6.Skit(Tel)/Pro. S.L.A.C.K.    
7.It's Romantic feat.仙人掌/Pro. S.L.A.C.K.    
8.Down(Love Sick) feat.Kcal's/Pro. S.L.A.C.K.    
9.Skit(Cool Down)/Pro. S.L.A.C.K.    
10.Hot Cake/Pro. 16FLIP    
11.SMG with.MEW/Pro. S.L.A.C.K.    
12.Dream In Marijuana/Pro. S.L.A.C.K.    
13.Waikin Down The Street feat.Kcal's/Pro. 16FLIP    
14.Think So/Pro. S.L.A.C.K.    
15.Re-lacks/Pro. S.L.A.C.K.


★★★★★★★★☆☆

I'm Serious-好きにやってみた-
」以来となる、PSGの一員・S.L.A.C.K.の2ndアルバム。2009年2月18日発売。

SEEDAの登場をひとつのターニングポイントとして、ラッパーにとってのHIPHOPの存在は大きく変わってきた。HIPHOPに自分の生活が規定されるのではなく、自分の生活の中のあくまで一部にHIPHOPがある、という状況。BRON-Kが「
何一つ失わず」で、HIPHOP一筋ではなく全てを手に入れようとし、「だってこの世の価値なんてゴミかもしれないじゃん」と意志表示する傾向には、ZEEBRA世代の「オレがNo.1HIPHOPドリーム」思想はほとんど感じられない。そして最近のラッパーに見られるこの傾向は、このS.L.A.C.Kにも強く当てはまるだろう。

"Rap or Lifeならどうでもいい"(「
Down(Love Sick)」) "普通の生活して楽しく出来ればいいと思うんだよ"(「Think So」) と軽く言ってのけるS.L.A.C.Kの本作にはHIPHOPそれ自体への拘りはほとんど感じられないし、事実、HIPHOPの構成要素に言及した部分は、クラブ活動をほんのり思い返した、16Flipの『Could It Be I'm Falling Love』使いの1ループが心地良い「Hot Cake」など数曲の詩に散見されるくらいだ。あとは自分の手の届く範囲で、それを歌うことが出来ればそれでいい。

身内内でアルバム製作をサッと済ませ、リリックでも、そしてラップ自体でも適当感とめんどくささを全面に押し出した本作の持つ脱力感。それはラップがHIPHOP的価値観から離れた結果、完全に牙を失ったことで、ずっと甘噛みされてるようなダラけた気持ち良さを演出する。雨の休日に聴いてると、あまりの心地良い脱力感に一日を無駄にしそうだ。一方で、ほぼセルフプロデュースで固めたトラックはあくまでオーソドックスな公式に乗っ取って作られていて、その部分での遊び心の無さも、リスナーの耳を敏感にさせずにゆったりと音に身を任せることに貢献している。

あえて注文を付けるなら、Skit群がいらなかったこと。曲で十分表現出来ているダラケっぷりは、わざわざ会話を挟んで強調しなくても十分伝わってる。

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12:14 | S.L.A.C.K. | comments(0) | -

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