関西の代表的な大型クルーとしては、同年に2ndアルバム「THE MEGA CITY FIVE」を発表したDOBERMAN INC.や、同じく「ジャンガル」を発表した韻踏合組合などが挙げられる。しかし、RGING RACINGには、常にアメリカを見据えたDOBERMAN INC.や、「ライミング」という技術自体をアイデンティティに昇華させた韻踏合組合のように、クルーとしてHIPHOPに対し、確固たる姿勢をもっているわけではない。強いて言うなら漠然とした「関西人らしさ」そのものが、そのまま彼らの色になっている。レゲエのフレイヴァもほんのり匂わせつつ、関西人特有のイントネーションで親しみやすく語られる背伸びしないラップ。これは、LARGE PROPHITSやDESPERADO、BAKA de GUESS?(あるいは脱線3も)から、今のCOE-LA-CANTHやZIOPSまで脈々と受け継がれてきたものだ。そしてそうしたラップの語り口そのものにこそ魅力が詰まっているため、お世辞にも洗練されたとは言えないスキルで、キャラ立ち優先で好き放題に荒々しくマイクを回していくRAGING RACINGは、それだけに関西臭くてより魅力的だ。
DJ NAPEY,ATTI,Mr.FUKUSANにより提供されるトラックがまたラグドな装飾感が無いミニマルでチープなもので、この辺りも90'sサウンドとはまた違う、関西特有のロウでラフな質感を纏っている。曲単位ではやはり、「RR SHIT」や「原点回帰の進化」などのクルー総出での曲の勢いは聴いていて気持ち良い。また、クルーを先導して大立ち回りするYO-SUKEとHIROのラップはメンバーの中でも一歩抜きんでていて、低音のYO-SUKEと高音のHIROのコントラストによって曲の深みが増したところも多い。特に「残念なお知らせ」で最後に一気に食いにかかるERONEにも負けなかったのは素晴らしい。HIROの "己に振り返っては寝てばっか 何練ってるって葉っぱ" はパンチライン。
1.INTRO feat.PITC produced by KYN 2.RAP GAME / produced by DJ CHANG ONE 3.THA LIFE / produced by DJ CHANG ONE 4.R U READY? / produced by DJ CHANG ONE 5.WAX-N-KYN(PART 1) feat.WAX produced by KYN 6.BRING or RUST / produced by KYN 7.SPICY CHICKEN / produced by KYN 8.サイレントキラー / produced by KYN scratched by DJ CHANG ONE 9.THA WALK / produced by KYN 10.SELL OUT / produced by KYN 11.ピエロ feat.NRIKIYO produced by KYN 12.UNFIELD feat.あるま produced by KYN 13.STAY BUCK / produced by KYN 14.我が闘争/ /produced&scratched by DJ CHANG ONE 15.THE ENDRACE / produced&scratched by DJ CHANG ONE
1.INTRO 2.G.O.D -GAME OF DEATH- feat.B.D. THE BROBUS 3.KEEP ON ROLLIN’ feat.XBS & JUNEAR 4.TIME TO CRUISE feat.BAZOO 5.SUNSET TOWN feat.F.U.T.O. 6.MECCA feat.BIG-Z 7.SKIT feat.MASTA SIMON FROM MIGHTY CROWN 8.45 MAGNUM feat.YOYO-C 9.CRYIN’ feat.宏実 10.TOUCH feat.VLIDGE 11.WELCOME TO YOKOHAMA CITY feat.YUTAKA HANDA
ただ、多くのラッパーがそういう細かなスキルのやり取りでの失敗をする一方で、そんなもん吹っ飛ばして、BIG-Zがいつも通りにサビでは"ゆっれうっごっきっな〜♪" "おったっのっしっみっは これから〜♪"と歌って我流を貫く「MECCA」に関してはもう逆に清々しい。典型的なウエッサイ式を貫いた自らの1stアルバム「WEST FAR EAST SIDE」と同じ方法で、DJ TOMOが「ステレオタイプなウエッサイ図式」を崩しにかかった本作に攻め入る器量は、なんというか逆に褒め称えるべきだと思う。BIG-Z大好きですよ、もう。
後半のシンガーサイドも凡百な出来で残念で、結局ウエッサイ図式のルネッサンスを起こせたのは伴田裕のサックスを交えてアーバンジャズっぽさを醸すインスト「WELCOME TO YOKOHAMA CITY」と、ビンビンに張ったギターの上でB.D.が尖鋭的に吠える「G.O.D.」くらいか。でも後者の出来は本作では図抜けて良かったので、これからも語り部との相性次第では今回の狙いをより高次で達成出来るんじゃないだろうか。そのときもまたBIG-Zみたいな全速力で逆走する飛び道具が仕込んであれば、なお嬉しいです。
1.Family < Album Ver. > 2.Have a nice day 3.ビター & スウィート < Remix > 4.ココニイル 5.I am the man 6.Ms. Money 7.今がイチバン 8.Skit・公園 9.スロウ 10.レンタカー 11.続・男はまぁまぁつらいよ < オジサンの小言 > 12.Skit・家族 13.子守唄 14.Blood, Sweat & No Tears < Bonus Track > 15.ディリリリ・ダラララ DJ SANCON feat. KOHEI JAPAN 16.もしも息子が出来たなら・・・ DJ MITSU THE BEATS feat. KOHEI JAPAN
1.intro ~NAP TRAP~ 2.アンチテーゼ feat. DABO & JAZZY BLAZE 3.紳士淑女の皆様へ feat ERONE(韻踏合組合) 4.I`d rather die than give U control feat. AGRI8 & K-ONE(LARGE PROHITS) 5.stILL feat. ICE BAHN 6.tragic LOVE feat. COPPU 7.relations feat. DU-DUCK 8.shelter feat. MC STATE 9.KILLER killer ~abyss~ feat. HANABiS 10.今宵のミラーボールのように TAK THE CODONA 11.Le chat feat. ENDY (H.R.C) 12.摩那街灯 feat. YOUNGI 13.UNDERGROUND feat. RYUZO(R RATED RECORDS) 14.泥中花 feat. 神門 15.Don`t Mind GO MY WAY feat TRASH the JUN07
中でもリスナーを見据えて"クリアランスがうるせー時代にも抜け穴がある いたちごっこが手詰まりになったら発展が止まっちまうだろ?"と語るTAK THE CODONAは良かった。もっとアブストラクト然としたアーティストかと思っていたのだけれど、この曲でアラビアンビートに乗せて明確な主義主張を仕込んでくるラップは文句なく上手かった。
曲としてはBROBUS3人の新鮮味でもった「裏R.P.G.」のみが最低限の水準を保っており、豪華なクレジットや仕様とは真逆に中身はスッカラカンだ。リミックスが3曲、新曲がイントロ的な語りのみの「TO DA NEXT EVO'」を含めて3曲のミニアルバムに、PVを中心に収録した16分のDVDという組み合わせ。これで3360円という値段設定も、HIPHOPバブルという当時の背景を踏まえても何かの冗談としか思えない。