1. 車窓 / ILUMARIfromRIP SLYME
2. BY−金(蝿) / 牛舌喰らうfeat.LITTLE
3. 心〜EXTRA・FUNKY P・MIX〜 / INDOPEPSYCHISfeat.NOROY
4. 3D〈DAT〉 / BY PHAR THE DOPESTfeat.OSUMIfromSHAKKA ZONBIE
5. 巨大なアリが町を徘徊 / CRAZY−A
6. 悪の華 / BOSS THE MCfeat.DJ ONO
7. エピローグ / MEP SLOWN
8. 放剣〜BOUKEN / MACCHO
9. MERRY-GO-ROUND / CAKE-K Sweet〈B−FRESH〉feat.DJ COOL K,UMEDY
10. K.I.N120%(K.I.N)
★★★★★★★★★☆
今のリスナーが曲目を見た場合最も興味が湧くのがこの六作目では??シリーズ中最もアーティストがバラエティに富み、しかもそのほとんどが現在のシーンで第一線で張ってる面々。今では一枚に収まる事なんて有り得なさそうなメンバーの90年代の曲が聴けるってんだから後追い側としては期待値トップクラス。それぞれが今の路線の基盤となるスタイルを取った曲を製作していて、今聴いても(逆に今だからこそ余計に)十分楽しめる仕上がりだ。特に現FG勢はまだ仁義一家としての活動の方が盛んだったLITTLEを除いてかなり現在のスタイルに近い。HOOKが脳内でリフレインしまくるILMARIの「車窓」は、そんなエッセンスが詰め込まれて今聴いても耳に馴染みやすい曲。BPTDの「3 Dat」も浮遊感のあるトラックに乗せての虚無感溢れるリリックが胸に響いてくる。OSUMIの出番は無いに等しいがこれはかなりの良曲です。LITTLEもそうなんだけど、KREVAのライミングスキルはこの頃から既に完成形。他にもSUとPESのMEP SLOWNやK.I.Nなど、このコンピが現FG勢と深い関係があったのも見逃してはならない歴史の一ページだ。他にはCRAZY-A独特のタイトルセンス爆発で、トラックだけでも泣かせてくれる「巨大なアリが街を徘徊」やMACCHOの高回転フロウが耳を突き刺す最初期のソロ曲、「放剣」辺りも中々の出来。そんな中で個人的にCAKE-Kの「MERRY-GO-ROUND」を大穴的な楽曲として推しておく。比較的ポップなメロディーでかなり耳に抵抗なく入ってくる。普段HIPHOPを聴かない方にも薦めやすい曲かも。最後に気になるポイントでもあるBOSSの「悪の華」だが、正直に言ってしまうと完全に空気。BOSSの曲の中でこんなに退屈だったのは初めて。リリックもとなんだかんだで当時のシーンの受け売りみたいなラインも散見され、まだ発展途上だと感じさせられる。アルバムとしては全体に耳に優しい音が占める中で、ところどころにもろハードコアな曲が差し込まれて一筋縄ではいかない、適度な緊張感が保たれている。「ここに収録されている曲は形態こそ様々だけど、どうあってもやっぱりHIPHOPなんだ」。今聴くとそんなメッセージが暗に聴こえてきそう。名作。