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2PAC / ECDイルリメ



1.BPM90
2.ブレイクダンスは頭で回る
3.トップシークレット
4.魔法のホーキ
5.蘇る朝、生える手足
6.勢いのある曲
7.Baby
8.ラッキーなストライク
9.繰り返すフリージャズ
10.BPM120
11.ポップス
12.オープニング
13.黒の子守唄
14.メカニコング
15.ロック&スクロール

★★★★☆☆☆☆☆☆

HIPHOPに留まらない事でHIPHOPのメンタリティを維持し続ける二人・ECDとイルリメのタッグアルバム。2005年12月16日発売。

ラップがまともに入ってない曲が何曲もあり、音としても一般的なHIPHOPの枠組みから評価することは断念せざるを得ないだろう。音も言葉も頭にふと浮かんだものをそのまま録音してしまおうくらいの意気込みで作られた作品で、アルバムにさしたる狙いがあるわけではない。トラックは破滅的なブレイクビーツが跋扈し、そこに他ジャンルの音をブチブチとちぎり取って繋ぎ合わせていく事で完成されている。その感覚的な製作姿勢の結果、そこに計算では辿り着けない何かが生まれているならば全部まとめて「グルーヴ」なんて便利な言葉で褒めちぎって終わる事も出来ちゃうのだけれど、残念ながらこの言葉に当てはまる音はこのアルバムには無い。

ノンビートでラップする「
BPM90」と「BPM120」を除いて理性を排除し加速度的に壊れていく言葉と音は、ギリギリの一歩を踏み外した結果言葉の意味通りでしかない猥雑さを増し、アルバムが進むにつれて「聴く」という行為をただの苦行にしてくれる。「ブレイクダンスは頭で回る」はその単語の端々に機知に富んだ洞察を垣間見れ、トラックも一般的なブレイクビーツであるがために唯一まともに聴ける。が、それはいかにHIPHOPから離れて楽しむかを追求した今作において最も「HIPHOP的」な楽曲であるためで、本人達にとっては皮肉でしかないだろう。他は音楽に辿り着けなかった失敗作が並ぶだけ。

この手の作品は本人やファンが「この音楽の良さがわからないならまだまだ素人だな」と言い逃げしちゃえばそれまでなのでこうしたレビューには不向きな作品であろうし、そもそも言葉による説明・解説がどれほど意味を持てるのかも疑問ではある。それでも音を、そしてその感覚を文章にして並び直して再整理するという行為は必ずしも無駄ではないだろう。やりっ放しのテストに価値はない。
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16:21 | ECDイルリメ | comments(2) | -
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コメント
このアルバムと同年にM.I.A.の1stが出ているんですが、
そのことに代表されるように、2005年は、グライムやバイレファンキやBモアといった、いわば「初期衝動」・「低偏差値」・「ゲットー」ミュージック(全て褒め言葉)が、幅広い層に聴かれるようになった年だったと記憶しておりまして、
『2PAC』も、そうした時代の空気を多分に含んだものであるように思います。

ゲットーミュージックの方法論で、2人のリスナー遍歴をコラージュしていったら、何やらフリージャズみたいな変てこなアルバムが仕上がった。
私は、『2PAC』をこのように解釈しています。

ただし、このアルバムの「やりっ放し感」が、当時の時代背景を反映したものだということを理解したところで、やはりハードリスニングに堪えない作品だという事実は拭い難くw
事実、日本語ラップの中では、ECDとイルリメとMSCのことが別格で好きな私も、このアルバムと『新宿Street Life』だけは、あまり聴き返していませんw


失礼しました。
2009/12/05 5:58 PM by (d)
こんにちは、いつもコメントありがとうございます!!

>2005年は、グライムやバイレファンキやBモアといった、いわば「初期衝動」・「低偏差値」・「ゲットー」ミュージック(全て褒め言葉)が、幅広い層に聴かれるようになった年

なるほど、面白いですね。自分は洋はもっぱら中古で後追いなので当時の時代感を読み取るのがかなり苦手なのですが、確かにこうしたゲットミュージックの再生産を彼らが行おうとした作品とも取れますね。(d)さんのおっしゃる「低偏差値」的な方法論で正規の音作りを逆算的に行った結果が、片腕がもげた人形だらけのおもちゃ箱みたいなこのアルバムだったのかもしれませんね。興味深い御意見です。

>やはりハードリスニングに堪えない作品だという事実は拭い難くw

ここで少し安心しました笑

>このアルバムと『新宿Street Life』だけは、あまり聴き返していません

ECDは1stとかは無難なHIPHOPアルバム作ってましたよね。そこから作品のの目に見える逸脱感が面白い所です。
そして自分は「新宿Street Life」も結構好きなんですよね。自分がNITRO厨だったこともあるのでしょうが、彼らの持ってたアングラ感の半分程がオーバグラウンドHIPHOPに吸収されたようなあの質感は「Matador」よりもとっつきやすかったんです笑
2009/12/06 3:50 PM by 遼
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