RATID -Realize A Thing In The Depths-

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THE RED MAGIC / AK-69


1.No.69
2.The Red Magic
3.Public Enemy
4.Judgement Day
5.My Time
6.Champagne Boyz
7.Hollywood feat.TWO-J
8.Skit
9.MIC TEST
10.I.M.P. feat.ANARCHY
11.I DON’T GIVE A FXXK feat.MACCHO
12.SOLDIER SONG feat.CITY-ACE、G.B.L、A-1、DUCK & MAKER、MINISTA K.C、THREE-A、KJI、CRAY-G
13.街模様
14.It’s OK feat.AI
15.BECAUSE YOU’RE MY SHAWTY
16.CUT SOLO feat.HI-D

★★★★★★★★☆☆

Ak-69の5thアルバム。2011年1月26日発売。

日々の生活の辛さを嘆き、将来について悲観するアンダーグラウンドミュージックだけがHIPHOPなのだろうか?音楽は、現状だけでなく、夢を見るためのものであっても良いはずだ。仰々しい、決して現実を見ていない歌詞を吐き出しては、自称リアリストのアングラリスナーから後ろ指を指され、それでも成功を夢見る。そうして「オレはビッグになる」と連呼していたアーティスト達が置いていったマイクがうず高く積まれた上に立ち、AK-69は遂に、その夢想と嘲られた言葉たちを、日本のHIPHOPにとっても久方ぶりに現実のものとした。笑っちゃうくらいにハードコアなスタイルはそのままに、オリコン3位に堂々と食い込み、インディーズにも関わらず初動で26000枚捌いた彼のリリックを嘲笑うことの出来るリスナーはもう居ない。 

"地下で進められた研究 だが今  日の目浴びそうさThank You"(「The Red Magic」)。もう一度言おう。AK-69が夢を見るたびにクスクスと笑っていた、「HIPHOP通」を気取る、本人たち曰く「現実が見えている」リスナー達はもう黙るしかない。 

"売れたくねぇ ならなんで売るCD 訳わかんねぇ メッセージ伝えたいだけの活動なら全て無料でどうぞ メジャーにいかねぇアンダーグラウンドじゃなく メジャーに行けねぇアンダーグラウンド"(「MY TIME」)。自らの現実に音楽を寄り添わせて「リアル」と呼ばれ安堵しているラッパー達を尻目に、彼は音楽に現実を追いつかせたのだ。

恥ずかしげも無く寸劇を披露したあと、後ノリでゴリゴリ前進する「PUBLIC ENEMY」や、細かいが "言っとくがめんどーだもんで"  辺りのフロウにパワフルな成長を感じさせる「No.69」など、ド派手な仕掛けをそこかしこに設置したバブリーなHIPHOPは、音楽的に今までと特に何が変わったわけではない。

むしろ音楽性そのものより、ラップが間違いなくタフになった。前述の「No.69」での捌き方はもちろん、「Judgement Day」では、ズッコケそうなほどダサいオートチューンの歌HOOKの損失分を取り返して余りあるほどヴァース部分が逞しい。

そのことと前述の言動と結果が一致したことによる頼もしさが相乗して、本作でのAK-69はとにかくラップで唸らせてくれる。 "空気? 読む必要ねぇ どこでも持ち込む俺んたの流儀 ハリウッドでも日本にいるみたく振舞うぜよろしく"(「Hollywood」) "これともすれば国家問題だぜ 用意はいいか焦る首相"(「The Red Magic」)なんかのリリックは、いかにもハーコーラップらしい尊大なオラオラ感に加え、これらのラインをドカンと耳に押し込んでくるだけのラップの力強さをAK-69が備えたからこそ、強烈に印象に残ってくる。

地元のフックアップシットである「SOLDIER SONG」を除き、ANARCHYやMACCHOといったパワープレイ要員に限定したゲストラッパーも、それを更に補強するだけのパンチを真正面から打ってくる。「I.M.P.」でのANARCHYなんて、「24 Bars To Kill」でも一切魅力を感じなかった僕の中のANARCHY評を久方ぶりに上げてくれた。日本でラップスキルの極致に最も近い一人・MACCHOに至っては、過去最高の調子で飛ばす本作のAK-69すら食う勢いだ。OZROSAURUSの4th以降続く彼のハイトーンボイスは、徐々に洗練された結果、以前よりリリックが耳に届くようになったと感じるので個人的には大歓迎。

AIやHI-DといったHIPHOP畑お馴染みのシンガーを迎えての楽曲でも、(僕のようなリスナーに)金太郎飴スタイルと呼ばれようが一徹に自分の道を貫いてきたからこその、こなれたラブソングを披露している。しかし「CUT SOLO」で曲名を連呼しまくるこの曲でのHI-Dはしつこいくらいに存在感あるな。

聴こえの良さだけを重視するなら決して全国向けに発信するには得策ではないであろう名古屋弁もそのままに、DJ RYOW、NATO、DJ PMX、RIMAZI、DJ☆GO(この星はなんだ)といったプロデューサーのゴリゴリな布陣もそのままに、何よりそのハードコアラッパーとシンガーとしての側面を剛柔織り交ぜるスタイルもそのままに、結局最後まで、ただその道を走ることでここまで昇ってきた。寄り道を一切せず垂直的な成長だけを求め、ラップスキル的にも、セールス的にも遂に来るべきところまで辿り着いたならもう認めるしかない。やたら合間に挿入される変なうわずった笑い声以外は文句の付けようの無い、AK-69渾身の快作だ。


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16:24 | AK-69 | comments(6) | -
TRIUMPHANT RETURN -REDSTA IZ BACK- / AK-69



1.Triumphant Return
2.Guess Who's Back ?
3.Ding Ding Dong 〜心の鐘〜
4.Nobody Does It Better feat.DS455
5.Hardcore feat.Acura
6.Underground Kingz feat.M.O.S.A.D
7.Jap Ridaz feat.加藤条山
8.Heads Or Tails
9.Skit feat.DJ OLDE-E,MINISTA K.C.,EL LATINO,SATT
10.Rain Man feat.DELI
11.Remember Me
12.Keep Your Heads Up feat.YORK
13.The Secret Love
14.Take A Ride
15.The Honesty My Love Pt.III
16.One Way,One Mic,One Life feat.般若

★★★★★★★☆☆☆

オリジナルとしては四作目となる、AK-69が2008年に発表したアルバム。時に安定感、時に紋切型と評されるこの名古屋勢の似たりよったり感は今作でもバッチリ継承。DJ PMX作のNobody Does It Better」がモロに西ノリなこと以外は、ほぼ全てのトラックがサウスノリとなってます。ただ彼(彼ら??)のこうした本場寄りのスタイルはアーティスティック性の放棄なのではなく、決して譲る事の出来ない、僕が考えていた以上に(それは最早意地とも呼ぶべき)彼(ら)のアイデンティティだったという事を思い知らされました。それを最も具体的に示してくれたのが「Jap Ridaz」。尺八の竹琳軒大師範だという加藤条山を迎えて製作されたこの曲は、イントロで熱の籠った加藤先生の尺八が鳴り響きます。これはどう見てもありがちな和風トラックに仕上げられるんだろうな、と思っていたら、流れてきたのは尺八のワンループに無理矢理サウス式のビートを乗っけたインド人もビックリの力技トラック。その音の上で「日本人の凄さ」を説くリリックが展開するわけですから。つまり彼にとってのHIPHOPとは本場のメインストリームのそれが細胞にまで浸みこんでいて、それ以外でのHIPHOP表現なんて考えられないんですよ。あえて本場式の音の上でスピットする中でどれだけ日本人を貫けるか。これだって突き詰めれば一種のオリジナルなスタイルと呼んでいいと思います。更にDing Ding Dong 〜心の鐘〜」や「The Secret Love」なんかのタイトルだけ見れば一般人向けのヤワい曲にしか思えない曲まで、リリックこそ前向きなメッセージソング、ラブソングだけど、トラックはいつも通りのズンドコビーツで仕上げちゃう。アメリカの猿真似と纏めて切り捨てるのは簡単だけど、これはもうそんなありがちで紋切型の批判で切れるほどヤワな意地じゃない。ただこの意地が楽曲製作に100%影響してるが故にどの曲、アルバムも似た印象にしかならないのも事実。AK-69は、そして周辺の名古屋勢はこの意地と楽曲のバラエティさをいかに両立させるか。とんでもなく難しい事だけど、彼らが日本のHIPHOPのど真ん中に戻ってこれるかはこれが出来るかどうかに懸ってると思う。

あともう一つ、この意地でメッセージとしてのリリック性の貧困さを生んでしまっている。メッセージソングがその多くを占める今回のアルバムだけど、メッセージを発しておいて小節終わりの締めの言葉が毎回ありがちなHIPHOPスラングだけでは胸に響かない。特にムカつく対象への蔑み方が全部「マザファッカー!!」で締めちゃってて、いや、そこのユーモア性でリリシストかどうか決まるんだと思うよっていう。逆に自身の半生を綴る「
Keep Your Heads Up」は既存のHIPHOP辞典に頼れず自身の言葉で語るしかないため、かなり聴き応えがありました。「One Way,One Mic,One Life」の般若のリリックなんかもすげーカッコ良いし、まだまだやりようはあると思う。今作はやっぱり今まで通り「安定してるけど良いのか悪いのかわからない」って感じ。でも要所要所でのメロディの取り方なんかにはセンスを感じるし、この意地を持ったままうまくバラエティを出せれば数段面白くなると思う。日本のHIPHOPアーティストの中では稀なほど精力的に活動してるし、期待したいです。
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23:42 | AK-69 | comments(7) | -

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