1.道なき道
2.かも
3.たられば feat SONOMI
4.最終回
5.エレクトロ・アース・トラックス
6.Oasys
7.Changing Same
8.Reprise~道なき道~
★★★★★★★★☆☆
KREVAのソロ初となるミニアルバム。2010年9月15日発売。音楽制作に新たなシンセサイザー・OASYSを導入しての一枚。
何を隠そう前作『心臓』を聴いてない僕なので(HIPHOPブログなのにそれで良いのかっていうね、ほんとに)前作との対比で本作を語ることは出来ないが、相変わらずポップスの面からも理解されやすいメロウネスを散りばめながらも、ヘッズも納得させるビート強度を保っているのはさすが。新機材の影響か、よりハイファイ感が増しているが、耳に痛くは無く、鳴りが良く低音と高音の差が激しいぶん、かなり奥行きのあるサウンドに仕上がっている。
インスト、もしくはそれに近い楽曲が3曲にYOUNG PUNCHのカバー「エレクトロ・アース・トラックス」を積んだこのミニアルバムは、そうしたサウンド面での実験と、助詞を基軸に廻す「かも」「たられば」、ネット批判と自分の心情を、メロディアスで壮大な音に包んで吐露する「最終回」といったリリック面での実験を上手く掛け合わせた作品と言える。
特に暗にネット批判を匂わせる「最終回」は、根底のメッセージこそありふれたものだが、リリックでの聴かせ方が上手い。強がらずに、誹謗中傷に対して弱さを見せながら、 "終わりだなんて言わないで欲しい" と悲痛に歌うこの曲。僕は、KREVAと言えば失恋モノだろうが結局はナルシズム全開で余裕綽々と歌うところしか想像出来なかったので、かなり衝撃だった。また、この曲の一番盛り上がるよう設計されている部分は、そこがメッセージの核心であることと併せて「HOOK」ではなく「サビ」に近い。その横断的な音楽活動は、これからもやっぱり多くの批判を生むのかもしれない。けれども、ジャンルを、マスとコアを、自由に横断出来ること。本作で改めて示したそれ自体が貴重な才能であることもまた、全くの真だ。