1.TEKKEN SEISAI
2.五重塔 WMA
3.Nan Shot-Ya
4.開けゴマ
5.Biggaman
6.哀愁氷点下
7.マッスル志願兵
8.Into Pu**y
9.激涙
10.Mic Anikies
11.Nan Shot-Ya(YAMAGASA Re-mix)
12.マッスル志願兵(肉体改造 Re-mix)
★★★★★★☆☆☆☆
90年代の福岡を暗躍した6人組、TOJIN BATTLE ROYALの未発表音源集。今作が発売されるまで全国のヘッズが彼らを知る機会といえば2000年に発売されたオムニバスアルバム『RAP WARZ DONPACHI」に収録された"ポセイ首領"くらいのものだったが、このたった一曲のインパクトのみで彼らの名はヘッズの間でずっと語り継がれてきた。そんな訳で今回の音源集の発売はマニアな方々には感涙ものの企画でしょう。
なんといっても特筆すべきはHATAJI-LOによる、ジャズネタにダーティなロウビートを組み合わせたドス黒いトラックの数々。ハイファイな音質がやたら持て囃される現在において、このアルバムのトラックときたらドラムの音もどの音か聞き取り辛かったり、上ネタとボトムのどちらも自己主張が強すぎてこれまたお互いに潰れかけてたり。それもこれも全部ひっくるめて「真黒なヴァイブス」の一言で纏めて片付けちゃう、これこそローファイトラックの魅力ですよ。力技一本。小奇麗なトラックに慣れ切った2000年代リスナーをドロッドロに汚してくれる、90年代の日本語ラップからの12発の贈り物です。
一方ラップに関しては好みが分かれるところで、これまた聴き易さ皆無の男泣きフロウを全員が繰り出してくるわ、リリックも全曲ムッサい単語が組み込まれてるわで聴き辛いことこの上ない。彼らのウリらしい(?)大量の芸能人の実名もだからどうといこともなく、さしたるインパクトもありません。唯一「TETSUKOの部屋に落ちてるTETSUKOのHairはとってもレア」は面白かったけど。
このリリック始め彼らの代表曲となっていくであろう「
TEKKEN SEISAI」と、同じくサンプリングネタに痺れる「
MIC ANIKIES」あたりは高レベルだけど、全体に似たりよったり感が漂っていてダレるのもまた事実。まぁ未発表音源の寄せ集めだからその辺の融通がきかなくなってしまうのはしょうがないか。正直イマイチラップに惹かれるものを感じ取れなかったけど、最初に述べたとおりこのトラック数々が産み出すあの頃特有の空気は触れる価値が十分あるんじゃないでしょうか。