1.TO BE WIDE TO BE WILD
2.SUNNY SIDE
3.組み立てのフレーム
4.COOL DANCE
★★★★★★★★☆☆
少し前には役者としてもデビューを果たしたDJ 門田祥穂のデビュー盤。ジャケ写にしても初回特典のステッカーにしても色々とナル臭を感じ取れたりするんですが、この手の職業なんてこれくらい自己に対する自信を持ってないと駄目なのかもね。天才高校生DJとして華々しく登場しドロップしたこの作品には当時17歳、DS 455の一員であるMACCHOが2曲にソロ参加。コンピレーションアルバム「CLUB WILD.B」に続くMACCHOの最初期のソロ音源として貴重なアルバムだ。このDJ 門田祥穂の音は後に発売されたアルバムを聴いてもわかる通り比較的この時代においてポップな音作りで、歌物…それも普通のJ-POPに合いそうなトラックで、どちらかといえばラップより歌に対する順応性に指向性を向けているように感じられる。それはこの作品にも横山亮なるシンガーが参加している事からも察する事ができる…が、三人が組んだ「TO BE WIDE TO BE WILD」はぶっちゃけて言えばトラックはちょっと安っぽいメロディにも思える。しかしこれがほぼ完全にMACCHO一人の曲で、意外にも相性バッチリな曲になっているから堪らない。ただでさえダークで煙たい曲が全盛のこの頃にあって、こういうポップなトラック上でMACCHO、それも彼の最初期のラップが味わえるというのは非常に貴重だ。この頃特有の彼のタンガンマンフロウも作用して聴きやすく、この時代の隠れた名曲として位置づけていいと思う。安っぽいだなんだ言いましたが印象に残るトラックである事も間違いない。もう一曲参加の「組み立てのフレーム」も比較的落ち着いた曲で出来としては「TO BE WIDE TO BE WILD」よりは劣るものの中々の出来映え。そしてDJ 門田祥穂の作るトラックが全般にこの頃としては珍しくポップなため、他のシンガーのみでの曲もそれなりに楽しめる。ただやっぱりまだトラックも粗い部分もあって、安っぽいアイドル歌謡曲のような印象を与えてしまう事もあるかも。まぁどうであれこの頃においてこういう趣向のトラックを作ってくれるDJというのは貴重だったと思うし、事実今のシーンでもこういった中間的な立ち位置のトラックをコンスタントに作ってる人はかなり少ない。こういったトラックを作れていたのもこれも現役高校生だからこその感性だったのか。コンスタントに活動を続けてトラックに磨きをかけていけば今頃は凄いDJになれた可能性もあったんじゃないかな。同じ頃登場した同年代のMACCHOが今ではシーンで圧倒的な支持を受けている現状を見るとそんな気もする。事実若き頃の二人が組んだこのアルバム曲は色褪せない輝きを放っているのだから。