1.ZEEBRA,SIMON,D.O.,SHINGO☆西成 - 24 Bars To Kill feat.DJ TY-KOH(CARREC REMIX)
2.GAZZILA - MY CITY (CARREC REMIX)
3.SEEDA - GO (CARREC REMIX)
4.SMITH-CN - FOLLOW ME(CARREC REMIX)
5.バラガキ&ZEUS - RUNNIN' (CARREC REMIX)
6.韻踏合組合 - AMEMURAN DREAM(CARREC REMIX)
7.TETRAD THE GANG OF FOUR - JAPANESE TOKKOTAI BANCHO (CARREC REMIX)
8.ISSUGI & S.L.A.C.K. - HEY TAXI(CARREC REMIX)
9.ANARCHY,LA BONO,RYUZO - ROC RATED(CARREC REMIX)
10.RYUZO & B.I.G.JOE - HEAVEN'S DOOR(CARREC REMIX)
11.KGE THE SHADOWMEN - REMEMBER SHADOWMEN(CARREC REMIX)
12.Anarchy, Rino Latina II, 漢 & Maccho - 24 Bars To Kill(CARREC REMIX)
13.般若 - 日本人ラッパー総選挙(CARREC REMIX)
14.TWIGY & DABO - MCW "MUCHA CUCHA WARU" (CARREC REMIX)
★★★★★★★★☆☆
早くからMICROPHONE PAGER「
改正開始'08」のリミックスなどをYoutubeに投稿し、韻踏合組合「
前人未踏」のリミックスなどで着実に名を挙げてきたトラックメイカー・CARREC(石川RAP委員会)。本作は、昨年発表された話題作『
24 HOUR KARATE SCHOOL』収録曲全てを彼がリミックスしたもの。これらのリミックスは彼の
bandcampか
Youtubeで聴くことが出来る。
和モノをサンプリングしてのトラックメイクにこだわる彼の音は、その信条の通り、日本の昭和歌謡(と、本来は一緒くたに括るべきではないのだろうが)が持つドラマチックで扇情的な音を存分に活かしたもので、日本人の耳によく馴染む。SKI BETZの、いかにもアメリカンな音に絡め取られたラッパー達をリコンストするCARRECの救出活動は、その信念のもとに行われる。
異次元空間でふわふわと漂っていたS.L.A.C.K.とISSUGIのラップをモダンでハイカラな昭和の日本風景の中に連れ込んだ「HEY TAXI(CARREC REMIX)」や、各人の代表曲を差し込みつつ、激情的なサウンドながら無機質だった原曲をより「やりすぎでない」ハードコア感に連れ戻した「24 Bars To Kill(CARREC REMIX)」あたりは、オリジナルより好きな方も多いのではないだろうか。「韻踏のフィールドはこっちだろうよ!!」と言わんばかりに祭囃子調の音でドンドコ盛り上げに盛り上げる「AMEMURAN DREAM(CARREC REMIX)」や、これぞCARREC節といった声ネタ使いの「RUNNIN' (CARREC REMIX)」も、確実に原曲にはない面白さがある。
報酬や名声から離れたところで、ただ愛情のみを行動原理に作り上げた手の込んだ本作にあえて何か申し述べるならば、各曲の方向性が似通っている点だろうか。トラックメイクの際の信条がハッキリしており、それぞれの曲の統制が取れているからこそ、ひとつひとつ取り出してみると凄く面白いのだけれど、全体を俯瞰すると、ややそれぞれの色調が重なっていることに気付いてしまう。
しかし、それを裏返せば、和モノネタで勝負する姿勢は貫きつつ、初期のように必要に応じて洋モノでの曲も差し込んでいけば、バラエティもオリジナリティも兼ね備えたとんでもない作品が出来るだろうということだ。その独自のサウンドは既にtwitterなどで話題になっているが、アルバムを一枚丸ごとリミックスした本作で、より多くのリスナーのもとに彼の音が届くことを願う。間違いなく今のしてきているトラックメイカーの一人。冒頭の「24 Bars To Kill REMIX (CARREC REMIX)」を聴けば、彼の持つ可能性が理解出来るだろう。D.O.とSHINGO西成のヴァースなんて、原曲の何倍カッコ良く仕上がっていることか!!