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TOKYO TRIBE / ZINGI


1.INTRO feat.Ganxta DX
2.闇夜鴉
3.TOKYO TRIBE
4.2XXX prod.DJ KRUSH
5.馬鹿はどっちだ
6.DAMAGE
7.我道烈伝
8.RHYME遊戯 feat.DANTE, SKIPP (NOROY),OCHI, LITTLE (音戯),POLEE-K,IQ,DEPAS, SPPITE (FUSION CORE),BIG-JOE, WATAMAN (RAPPAZ ROCK)
9.空空理
10.不良少年
11.OUTRO

★★★★★★★★★

ZINGIは、リーダーのMC仁義、凱(GUY)、MAR、DOHZI-T(童子-T)、DJ BASS、GM KAZからなるHIPHOPグループ。1989年にECD主宰のイベント"Check Your Mike"で優勝し、渋谷クアトロでHIPHOP勢として初のワンマンライブを成し遂げるなどの実績を持つ。本作は3rdアルバム『』でロックに寄った方向性を再びHIPHOPに戻し、それによりDOHZI-Tもカムバックした、満を持しての4thアルバム。1996年2月21日発売。

ようやく形を成してきた日本のHIPHOPにおいて、いわゆる「アンダーグラウンド型」のHIPHOPの中でも、更にディープなところに潜むのが本作だ。ジャケットや参加メンツを見て、このアルバムに現在まで続く「不良のためのHIPHOP」の源泉を感じたなら、その感覚は正しい。MICROPHONE PAGERがHIPHOPの基礎的価値観を説き、キングギドラがHIPHOPを使ってラップを社会的価値観へ投入したとするなら、ZINGIは不良のための、HIPHOPの持つ最もダークな側面を提示して見せたと言える(この当時彼ら以外にこのスタンスを採っていたのはGANG-Oくらい?)。

そのスタンスの集大成と言える本作では、自らを鴉に例え街の裏側を覗かせる「闇夜鴉」、狂ったオルガンがリスナーを戻れなくさせる「TOKYO TRIBE」など、名曲のほとんどでKAZUO ISHIJIMAが中心となってトラックを手掛ける。更にこの世界観に当時のDJ KRUSHがマッチするのは自明であり、DOHZI-Tが今よりもずっと「自分で練った」ライムを吐き出す、将来を見据えた「2XXXX」での音は、DJ KRUSHの名曲「KEMURI」なんかの頃に近い質感があると思う。

中でも6分に渡って「オレスタイル」を貫くことを延々と宣誓する「我道列伝」は紛うこと無き名曲だ。後述のように、あえて欠点を挙げるならフロウの弱さがことに目立つ本作だが、他の曲と異なりビートの跳ねを重視してラップとがっぷり組んだこの曲は、今でも素直にラップそのものを楽しめるクオリティだ。特にMC仁義とMARのヴァースは、曲名を引用して締め括るベタな手法ではあるのだけれど、良い。

"馬鹿ばっか" とHOOKで連呼するだけの「馬鹿はどっちだ」のような、今に比べると洗練されていない曲の作り方であったり(それでもカッコ良いのだけれど)、この頃のHIPHOP全体の傾向としてフロウが全員似たり寄ったりのため、差別化のためにややキャラ芸のような寸劇、声色の変化に逃げる部分があったりと、今聴くとそのスタイルの目的に反してやや滑稽に聞こえる部分がないでもない。しかし、現代のHIPHOPに馴染んだ耳を持つ人間としてそうした要素を差し引いても、本作はなお名作の水準にある。「知る人ぞ知る」レベルの位置に留まってはならない一枚。一時の「不良型のHIPHOP=ダサい」の定式が崩され、MSCやSD JUNKSTAなど、このタイプのHIPHOPも多様化してきた。そうしたアーティストからHIPHOPに入ったリスナーも、本作で彼らの原点を確認してみてはどうだろう。

ちなみに彼ら主宰のイベントと同名の「RHYME遊戯」は、フリースタイルでマイクを回すゆる〜い出来なので、クオリティについて期待は禁物。NOROY(現INDEMORAL)やFUSION CORE、LITTLE、BIG-JOE、OCHI(FRAGRANCE)といった面々の若かりし日の声が聴けるのは貴重だが、まぁ名盤たる本作のオマケ程度ということで。


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06:24 | ZINGI | comments(4) | -

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