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◎≠ / あるぱちかぶと


1.あまりに或蜂的な。(inst.)
2.トーキョー難民 (Producer 在音)
3.葉脈は性懲りもなく(Producer dr.pules)
4.大震災 (Producer Yakkle)
5.コケシの笑み (Producer Eccy)
6.完璧な一日 (Producer 在音)
7.カラシニコフ (Producer Eccy)
8.元少年ライカ (Producer EMUFUCKA)
9.故障かなとおもったら (Producer Fragment)
10.或蜂 (Producer Eccy)
11.頭" (Producer MICHITA)
12.シバシノ別レ (Producer edkd)
13.日没サスペンデッド (Producer Eccy)

★★★★★★☆☆☆☆

Eccyとのユニット・The Reservoir VoxxとしてEccyのデビューシングルに参加して以降、Michita『Two』への参加などで知名度を高めてきたあるぱちかぶとの1stソロアルバム。2010年2月3日発売。

意味ありげなインスト「あまりにも或蜂的な」ののち、堰を切ったように「トーキョー難民」で溢れ出す言葉は、根なし草である自分達の境遇を、感情的なようでいて無機質に切り取る。彼はこの日常世界を描いたリリックの中に「自分の見解」だとか感情だとかをなるべく差し挟まない。だから、ひたすらどこか他人事のように語り尽くすあるぱちかぶとの音楽は、繊細で澄みとおった世界のように見えて、実は物凄く現代的な息苦しさと、それゆえの無感情な世界を構築する。

例えば、一般的な男性の一生を1曲のうちに詰め込んだ「完璧な一日」で抱く印象は、同様の状況設定であるSOFFet『SWINGIN' BROTHERS』収録「人生一度」を聴いて抱くそれと著しく異なる。穏やかな時間の流れの中で自分なりにもがく主人公の人生にリスナーが寄り添うことの出来る後者に対し、「完璧な一日」では息をつく間もなく主人公の人生は目まぐるしいスピードで進行し、彼の人生は、曲名通り一日と言えるほどの時間の中に収束する。現代的なせわしなさの中であっという間に人生は終わりを迎え、今際の際にようやく最後の息をそっと吐けるだけの安息と悟りが訪れる。

センシティヴな作品のように見えて、一歩引いた視点から日常を眺めるやり方と、小説的にキャラ設定を施してそれを語らせるその手法は、「或蜂」や、ありふれた出来事を徹底的にわかりやすい比喩で描き出す「故障かなと思ったら」などでも、存分に活かされている。

一方で、そのリリックは「何か語っているようだ」ということ以上の解釈の進めようがないものも多く、ぶっちゃけた話、リリック面でそこまで感銘を受けるアルバムかと言われると微妙だ。あるぱちかぶとのラップは、韻やフロウで聴かない、リーディングに極端に偏ったラップなので歌詞で聴くしかないのだが、自分の世界を持って真剣に取り組んでいることはわかる反面、それを伝えたがっている割には難解で小説的であることに本人だけが満足してしまっている感じ。「それっぽい」芸術的な音楽を聴きたい世俗的な欲求こそある程度満たしてくれるかもしれないが、この作品の中身を熱く語りたくさせるだけの言葉をリスナーに残してくれるアルバムではない。それ以上になれる素地はあるのに、「それっぽい」ポエティックな音楽にしかなっていない。夕暮れの情景と何かの終焉をリスナーとの共通項として持って感傷的に語る「日没サスペンデッド」は素晴らしいのだから、これくらいの歩み寄りはあっても良かったのではないかと思う。

逆に、本作の2年前に制作された、「いかにも」なストレートHIPHOPを唯一聴かせてくれる「大震災」や、パーソナリティに根差し感情的に言葉を吐く「カラシニコフ」の2曲は凄く日本のHIPHOP正史に則った音楽となっている。どうしてもそれらの曲の方が耳によく馴染むことを思うと、やっぱり僕の耳が古いだけかと考えたりもするのだけれど。







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15:37 | あるぱちかぶと | comments(2) | -

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