1.The Show
2.Buaaa!!!
3.Friday Night feat.COMA-CHI
4.Explosion Remix feat.Speech Defect
5.偉大なる1歩
6.蟷螂女 feat.ahhco
7.もっとMOCCOS
8.Skit
9.俺のしろ
10.Nice Middle
11.真昼のテーマ
12.ONE, Two, Three
13.You Gotta Groove feat.ULTRA NANIWATIC MC’S
14.Life feat.東田トモヒロ
★★★★★★★ ☆☆☆
餓鬼レンジャーの名作『UPPER JAM 』収録の「ばってんLINGO 」をきっかけに結成された、ポチョムキン、KEN-1-LAW、そして本作からメンバーとなったDJ MO-RIKIの3人組による、DOSMOCCOSの2ndアルバム。2007年4月4日発売。
日本のHIPHOPも、ラッパー自身の「HIPHOPをやる意味」がそのまま音楽性に投影されるようになってから久しい。それは各々のラッパーにとっての入口に過ぎず、聴き手には本来何ら関係のないことであるのだが、それすらも強みに変えて「パーソナルなインセンティヴに依る音楽で大衆に訴える」という矛盾を抱えた荒技を繰り出せるのも、この音楽の魅力だろう。
だが同時に、いつの時代になってもこんなHIPHOPだってあって良い。DOSMOCCOS。今や絶滅危惧種とも言える、ファンキーなパーティーラップの求道者。前作『Natural High 』では、地元である熊本を意識したローカリズムが、聴き手をリミットするような内向き感を生みだしていて凄く聴き辛かった彼ら。本作では割り切ってパーティーアルバムに仕立てた結果、DJ 大自然、GP、DJ MO-RIKI、Speech Defectなどが提供するトラックと併せて、はちゃめちゃで整合性がないほど楽しい、全身の体液飛び散るクサいお祭り気分が味わえる。
特に、遂に復調軌道に乗ったポチョムキンのラップがキレるGPとの「Buaaa!!! 」、KEN-1-LAWも気合いの入ったラップを聴かせる「蟷螂女 」、テクニカルに聴かせる快速ミドルの「もっとMOCCOS 」なんかは彼の独壇場だ。1stアルバム『DAY BEFORE BLUE 』をリリースしたCOMA-CHIが参加した「Friday Night 」も、波に乗る両者の純粋なスキル合戦が楽しい。こんなラップテクの応酬も、テーマを狭く定めない、テンプレまんまなパーティーチューンだからこそ出来たことだろう。
中盤までの勢いが素晴らしいだけに、アルバムを綺麗にまとめようとスローダウンする後半は、やや迫力に欠ける。それでもULTRA NANIWATIC MC'sとの共演や、前作同様、東田トモヒロに締めてもらう「Life 」なんかは相性の良さで持ったところもある。次の3rdアルバム『CHAMP ROAD 』の完成度の高さを知ってしまうと本作はまだ発展途上にあったのだと痛感するが、それでも前作に比すならば、ずっとクオリティの高い作品に仕上がっている。