1.アナザーワールド
2.コンコルドは翔んでゆく
3.FREAK OUT
4.恋人はエイリアン
5.渚の投げKISS(special guest前田健)
6.BAD BRAIN(inst.)
7.ANIMALIFE
8.NO CHANGES IN MY LIFE
9 不知火
10.1 or 8
11.PASSION
12.惚れたぜHarajuku(アルファ&スチャダラパー)
★★★★★★★★☆☆
MCのTSUBOIとWADAにDJ SUZUKIを加えたテクノ系HIPHOPグループ・アルファの3rdアルバム。2005年11月15日発売。
なにこれすごい。HIPHOPを聴き始めた高校生の時分に、ケツメイシから辿ってシングル『不知火』と2nd『SUSHI BOMBER』を買った。そのときは全くピンと来ず、結局これらの作品は何年も棚の奥で待機させることに。でも、こうして一通りHIPHOPシーンを聴き歩いてから改めて本作を買って聴いてみたら、完全に飛ばされてしまった。
頭のネジが飛んだというより、変なところにガッツリ捻じ込んでしまったといった感じの2MCの破滅的なラップもさることながら、アルファが未だ日本で特異な存在であるゆえんたる、DJ SUZUKIの電子音サウンドが凄く良い。専門外だから詳しいことはわからないけれど、ダブステあり、トリップホップっぽい毛色あり、既存のHIPHOPトラックとは何ら接点を持たず、でも「HIPHOP的にカッコ良い」ところに帰着させる。ワンループなんてそっちのけで、手を変えノイズを差し込み、本作最高点を叩き出した「FREAK OUT」のサイバーな凶暴性なんかは、保守的なHIPHOPに対して挑発的すぎて最高だ。昔そっとしまい込んだ「不知火」も、本作で最も緩急を意識したパンチ力重視の曲で、なんであの頃この良さに気付かなかったのか後悔するばかり。
その並びにある「恋人はエイリアン」なんかが悔しいくらいカッコ良い一方で、そのサウンドスタイルを崩さずに「ANIMALIFE」みたいな、驚くほどストレートにメランコリーな曲を挟んで来るのも凄い。聴き疲れはないが、聴き飽きることはままありそうな類の音なわけだけれど、本分を貫きながらも色んな側面を見せてくれるため、何のストレスもなく気持ち良く聴き通せる。
ただ、アルファの3人の力関係が綺麗に正三角形の形を描けるほど安定しているため、一種の完成形に辿り着いた本作ではゲストの存在はほぼ不要でもある。「渚のKISS」や、凄そうな割に全く何も面白いことが起こらなかったスチャとの「惚れたぜHarajuku」(これはボートラみたいなもんだけど)だけは心残り。
まぁ、「アナザーワールド」のイントロが流れてきたところで「こ、これは!!」となるか「はぁ?」となるかで評価が180度変わる作品であろう。MIDICRONICA好きの方なんかにはどストライク極まりない作品だと思う。これまでなんら理解出来ていなかった僕がぬけぬけと言うのもなんだが、アルファはHIPHOP村の住民からもっと高く評価されて良い。