1 PHOENIXION 09 feat. B.I.G. JOE
2.GOOOOOOOOOOOAL!!!!!!! feat. Shing02
3.WM
4.WALKMAN feat. NIPPS, K-BOMB
5.スサノオ feat. BRON-K
6.ASIAN SEED Ver.2 feat. HIDADDY, INI
7.INCREDIBLE STYLE CLASH
8.眠る街 feat. NORIKIYO
9.TOKYO
10.COAST TO COAST feat. 漢, 般若
11.MY ROOTS feat. FREEZ
12.JAPANESE HIPHOP AND ME feat. ILL-BOSSTINO
★★★★★★ ☆☆☆☆
DJ BAKUの3rdアルバム。2009年7月22日発売。
非常に誇り高いアルバム。ラッパーを大量に呼び込んでのトラックメイカーのアルバムは、およそ 2種類に分けることが出来る。ひとつは、トラックメイカーが己のサウンドの領分を貫き通すもの。もう一方は、トラックメイカーが各参加ラッパーの長所を活かすべくサウンドをそれに合わせるもの。前者の例としてYakko for Aquarius『My Hood Iz... 』、後者の例としてDJ HAZIME『Ain't No Stoppin' DJ 』などが挙げられる。
冒頭で本作が誇り高いと言ったのは、このアルバムにはそうした制作過程での妥協点がほとんど無いことだ。つまり、DJ BAKUもとことん自分色の音を譲らないし、ラッパー達もいつもの自分のトピック、アプローチを、その音に臆せずそのまま持ち込んでいる。そのガチンコでの組み合いが火花を散らした「PHONENIXION 09 」、「スサノオ 」あたりは、ラッパーのファンが聴いても、BAKUのファンが聴いても満足出来るものだろう。
一方、各所で本作があまり手放しで絶賛されていないのも事実で、それは音とラップ間でのバランスが崩壊している曲が散見されるからだと思う。音とラップのどちらかが歩み寄って安定性を保っている作品ではないため、「 GOOOOOOOOOOOAL!!!!!!! 」、「ASIAN SEED Ver.2 」に代表されるように、どちらかのテンションが違えば一気に空回りな曲になってしまう。
ILL-BOSTINOの曲など、がっぷり組んだはいいものの、化学反応が生まれず、結果ゼロ地点で静止してしまった曲などもあり、やはり僕も本作を「名作だ!!」と絶賛することは出来ない。ただ、各々がプライドをもって一切譲らずに殴り合おうとしたその心意気は、十分賞賛されるべきものだとも思う。結局、日本のHIPHOPにおいてそれが出来るだけの体力と矜持を持ったラッパーがこの12人だということに関しては、僕らとBAKUの間に恐らく不一致はない。