1.intro
2.only your love feat.Ms.Ooja
3.It’s been too long feat.小舞
4.This is for the hood feat.Ms.Ooja,プリメラ
5.O FIVE TWO
6.The latter for… feat.Ms.Ooja
7.G’z always cry alone
8.Between the bright and the dark
★★★★★★★☆☆☆
ハードコアバンド・カルサリのフロントマンとしても活躍した両名による、スプリットミニアルバム。2006年11月22日発売。
名古屋のシーンはほぼ平均して安定した一発を打ち込んでくる一方、金太郎飴状態にあるのも事実で、その中でよりフレキシブルな作品を届けてくれるMr.OZには最も期待していた。そこで彼のソロアルバムを経て届いたのが、EL LATINOを引き連れ交互にソロ曲を収録した本作だ。8曲ながら、両者のソロ1stアルバムを凌駕し得る出来の良いミニアルバムだと思う。
節間に言葉を詰め込んで喋くり尽くす低音フロウの両者が並び立って、各々ソロ曲を交互に受け持つ。更にテーマもハードコアなものは皆無で、よりセンシティヴな色合い、曲調に統一されている。これだけ見れば一般受けを気にした結果パッとしなかったあんなこんなな作品の山に埋もれてしまいそうなものだけれど、これが驚くほどクオリティが高い。特に、Mr.OZ周辺でその手腕を存分に発揮するonodubやEqualといった面々が手掛けるトラックが、名古屋特有の垢抜けたハイファイ感を保ちながらも情感に溢れ、ラップに寄り添う形でクオリティを底上げしている。
ラップではMr.OZに一歩譲るEL LATINOも、盟友Ms.Oojaを3曲に連れ込み、相性の良さをもって対抗している。「Only your Love」なんかは、特に彼女のコーラスの力が大きい。ウェッサイ調のクルージンソング「This is for the hood」での心地良さも、このジャンルのHIPHOPにしか醸し出せない魅力に長けたハイセンスなものだ。
Mr.OZのソロに至ってはもうソロ1stよりも元気で、本作での彼の担当曲には完全に外れが無い。「It's been too long」でのリリックの聴かせ方を心得たフロウ回しなどもさることながら、「O FIVE TWO」は凄い。タイトル通りの地元への感謝ソングと言えばチープだが、アコーディオンの1ループに支えられて本気の言葉を吐くMr.OZの力量を改めて実感する素晴らしい1曲。この頃からの彼は、あの声にも関わらず詩を普通に聴き取れるラップを出来ているのが凄い。また、ヴァースの最後の "Hello 052 What's Up? Homiez" あたりは、こうして書き起こすと全然大した詩じゃないんだけれど、実際に聴くとリズムの取り方がめちゃくちゃカッコ良い。
EL LATINO「The later for...」のリリックにちょっと引っかかるところがあったりもしたけれど、最後にはEL LATINO、Mr.OZの2人で組んで「Between the bright and the dark」にて文句なくバッチリ締める(もうイントロから最高!!)あたりも含めて、ほとんど隙のない作品。この辺の名古屋HIPHOPにおけるひとつのクライマックスはEQUAL『ごうだつゲーム』だと思っているけれど、それに比肩するミニアルバムと言ってもあながち過言ではあるまい。