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BASIC TRAINING / MEGA-G & MUTA & 49

■ILL SIDE MIXED BY MUTA
1.R.E.S.P.E.C.T.
2.天運我にあり feat.MESS
3.MASS 対 CORE(Ready or Not remix) feat.L-VOLAL & DAG FORCE
4.Still Street Life feat.GOCCI
5.Boombyebye (Hiphop Neva Die3) feat.サイプレス上野
6.東京の中央 feat.CHINO
7.INNER CITY CRUIZE feat.SIDERIDE,MESS,少佐
8.駆け巡る新宿ブルース (k.b.c.remix) feat.MSC
9.Rapperz R Danger feat.GOCCI & KASHI DA HANDSOME
10.続、末期症状 feat.ER-ONE
11.暴言 feat.MSC,I.F.K and shibbit
12.耳ヲ貸スベキ feat.SHINGO☆西成

■CHILL SIDE MIXED BY DJ 49
1.INTRO
2.夜行列車
3.FREE feat.PRIMAL
4.ブッダで休日 feat.PRIMAL
5.TOu-KYOu feat.EI-ONE
6.浸透 feat.仙人掌,CASPER ACE
7.共に行こう feat.VIKN
8.BACK CITY BLUES
9.LOVE TOKYO
10.今すぐ欲しい feat.MARIN
11.行方不明 (I.K.B.remix) feat.ISSUGI
12.BIG SHOUT OUT
13.人間発煙所 feat.L-VOKAL & SIMON

★★★★★★★★★★

JUSWANNA(現在活動休止中)のMEGA-Gらが主宰するBOOT BANG ENTAERTAINMENTからのシリーズ第2弾。日本のHIPHOP史に輝くクラシックを仲間たちとビートジャッキンしまくったストリートアルバムだ。ECD、ILLMATIC BUDDHA MC'S、キングギドラ、MURO、TWIGY、E.G.G.MAN、RHYMESTERなど、原曲のラッパー達による大量のシャウトもチェックポイント。2010年11月23日発売。

リスナーによる原曲との比較が不可避なビートジャックを数々のクラシックで行おうというのだから、企画そのものでリスナーを盛り上げることが出来るのと同時に、それと同等以上のプレッシャーも負った本作。概要発表時に頂点に達する期待値に耐え切れなかったお祭り作品は枚挙に暇がないが、いや、本作は凄い。

原曲へのリスペクトを各所に織り交ぜながら、これぞお祭りアルバムだ!!と膝を打ちたくなるような楽しい25曲が展開される。トラック面でのクオリティが担保されていることを鑑みても、「原曲を聴けば済む話じゃん」と言わせない本気のラップが全曲で熱い。全ての曲を紹介することは出来ないが、中でも原曲のいかがわしさをシフトさせて極上のブランツソングに仕立てた「今すぐ欲しい」や、MUMMY-Dのシャウトからの繋ぎも、ERONEの存在感も完璧な「続、末期症状」、「CHAIN REACTION REMIX」のトラックに乗せた「Still Street Life」あたりは叫ばずにいられない。また、「暴言」にも遊戯とTABOOのヴァースが追加され、各クルーメンバーが一応揃ったことでフィーチャリング表記が短く済むようになった。

ZEEBRAの「THE RHYME ANIMAL」からのチョイスが「東京の中央」であったり、T.O.P.RANKAZの「INNER CITY BLUES」は、あえて評価の低いオリジナル版を渋く仕立て直したり、まさかのNAKED ARTZ「浸透」の選出(僕狂喜!!)など、もう完全にあの頃の日本のHIPHOPを知り尽くした者の愛し方だ。もう2010年下半期はこれでおなかいっぱいになっちゃったかもしれない。

最後に。本作に対してTwitterでは「ただのカラオケアルバム」との揶揄がなされ、MEGA-Gが意気消沈する一幕もあった。だが僕に言わせれば、批判派が言うところの「カラオケアルバム」であるからこそ本作は魅力的なのだ。MEGA-Gが好きな曲を、存分に原曲オマージュを散りばめながら歌う。そこにはなぜ今やるのかの意義を全く見出せない「改正開始」を掲げ、参加MCが作品への接し方を全く理解出来なかったMICROPHONE PAGER「王道楽土」のような啓蒙性も、90年代回帰を掲げることによる押し付けがましい現代HIPHOP批判も無い。

ただ好きな曲を歌う、完全に個人レベルでの嗜好がこうしてそのままCD化出来てしまい、そんな作品に原曲のラッパー達がほぼ勢揃いでシャウトを入れてしまう。尊大なレトリックの下に各MCが顔を強張らせて出張って作られるお祭り作品よりも、好きな曲を歌いたいから歌っただけの作品に、過去と現代のHIPHOPが収斂する。その緩やかでフラットな連帯こそ、この音楽が持つ弾力性を示すものではないだろうか。そうであるならば、本作は決してただの懐古アルバムではなく、現代の日本のHIPHOPが持つ力強さを示唆して未来絵図を描く、これ以上なく前向きなアルバムなのである。それはBLAST廃刊に直面して、わざわざ「未来は暗くない」と引きつった笑顔で歌わなければならなかったあの曲の硬直した連帯では不可能な、「カラオケアルバム」だった本作だからこそ持ちえた意義だ。
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02:07 | MEGA-G & MUTA & 49 | comments(2) | -

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