1.INTRO
2.YES,SIR (WE'RE INFUMI ARMYS) / 韻踏合組合
3.WELCOME SHOW / 遊戯
4.STRAIGHT OUTTA D.B. / CHIEF ROKKA
5.MECCHA MECHA / 韻踏合組合
6.ソヤナイカ / ERONE
7.CAPTAIN MORGAN / HIDADDY
8.都市伝説 / 韻踏合組合
9.SPYS / HEAD BANGERZ
10.D.O.H.(DEATH OF HEITA) / SATUSSY
11.WE ARE V.I.P. / 韻踏合組合
12.ARABIAN NIGHTS / CHIEF ROKKA
13.OUTTA CONTROL / 韻踏合組合
14.HOLIDAYZ / 遊戯
15.24 / HEAD BANGERZ
16.THE ORGANIC / SATUSSY
17.BLUE MOON / ERONE
18.タンポポ/ HIDADDY
19.DREAMIN' / 韻踏合組合
20.前人未踏 / 韻踏合組合 feat.AMIDA,だるまさん,MINT
★★★★★★★☆☆☆
韻踏合組合の5thフルアルバム。2010年10月10日発売。
だるまさん、MINT、AKIRA(EVISBEATS)の脱退を受け、3枚のストリートアルバムでクルーとしての成熟度を再度高めた上で届けられた『TRASH TALK』、サウンド面で意外性を図った『SUPER STAR』に続く本作は、ようやく一連の地ならしも済んでの、残留組によるオーセンティックアルバムだ。全曲をEVISBEATSに任せたトラック群は、4人のラップがSkit無しで20曲続いても耐えるだけの低音による補強が施されており、盤石の様相を呈す。
そうしてサウンド面で安定性を確保した上で、本作はラップ面で散々遊びつくした作品と言えよう。HEAD BANGERZ、CHIEF ROKKA、各人のソロ曲を2曲ずつ収録していることも、力の入れようの表れだ。全員がソロアルバムを発表し、経験を積んでのカムバック作らしい "オレのラップをもっと聴いてくれ" という叫びが聞こえてきそう。
矢継ぎ早に名刺代わりのヴァースを打ち込み、全員が主役になりたがってる感ビンビンの「YES,SIR」や、EVIS作らしい歪んだ独自性を誇る音の上で魅せる「都市伝説」(先頭のERONEの入り方が上手い!!)、EVISBEATSがHOOKを務めた「OUTTA CONTROL」など、全員集合曲は安定した仕上がり。どっちかというとチフロカびいきの僕にとっては、和モノネタのトラックと組んでインパクトのみで狩りにかかってる「ソヤナイカ」や、「ARABIAN NIGHTS」での相変わらずの連携の良さなんかもうれしいところ。
EVISBEATSに音を任せたことによる流れのスムーズさが最も際立ったのが、遊戯「HOLIDAYZ」からクルーでの「DREAMIN'」に至る、ラストの泣きの展開だろう。この流れを意図的に全員の曲で作り上げているわけだが、トラックの統一感により、パフォーマーが変わることによるとっちらかりもない。何より各々のアルバムに収録したこの手の曲よりも、おおよそに言って良い仕事をしていると思う。特にSATUSSYについては、個人的にソロアルバム収録の「息子へ…」の煌びやかに過ぎる多幸感(もちろんその嬉しさは、本人にとっては必須のアウトプットだったわけだけど)なんかが苦手だったので、「THE ORGANIC」の落ち着き払ったラップがドンピシャだった。
ただこうした抑え切れない欲求を全部詰め込むほど、作品としては冗長になりやすいのも事実。安定したトラックに乗る、円熟味を増した渋い万能型4人のラップといった図式は、各人の成長具合を見せつける一方、体力が無いときには扱い切れない。例えば餓鬼レンジャーの『DA-PONG』に通じるような、さすがに詰め込み過ぎた印象がある。おいしいんだけどさすがに入りすぎてて途中で辛くなってくる、大サイズのプリングルス状態。これを上手く削ってスリムに出来ればより「アーティストらしい」んだろう。でも逆に言えば、それが出来ずにやりたいことを全部やり尽くして、とにかく全部入れたい!!もっとオレ達のラップを聴いて!!みたいな欲求&衝動のみで動いちゃうところに、まだまだ成長する素地があるとも言える。そういったアーティスティックに貫徹出来ないところが人間臭い。そしてその人間味というのが彼らのそもそもの根源的な魅力であるわけで、やっぱり憎めないグループだと思う。