MUROに強い憧れを抱くJBMの本作は、多様なトラックメイカーを呼び込みながらも、音はMUROの影響を感じさせる90年代を思わせるものに統一。その音の上で無理はせず、堂々といつものペースでラップするJBMの存在感は、客演で聴いたときよりもずっとデカかった。ソロマイカーとしてもガッツリやっていけるだけの力量があったんだなぁ。ブームバップサウンドの上で一定のリズムで言葉を吐くJBMのラップは、ともすれば単調だと切って捨てられるものになってしまうのだけれど、重量感のある声の迫力と、その堂々たる佇まいが実にカッコ良い。ヘヴィな声質のラッパーのソロ作はやたらにバラエティ感を高めることでしか聴かせられないのではと思っていたが、どっかり腰をおろして、やりたい音の上でやりたいラップだけする本作でのJBMは、ぶっとい幹のような安定感で、その一本気な姿勢が様になっている。「GET ON DA MIC」なんてなんら器用なことしてないのに最高だよ。
何度もタッグを組んでいる人材で固めた客演陣との曲もことごとく良い。中でも「OHSAMA KING」は、the sexorcistのアルバムに収録された大人気曲のオリジナル版とのことだが、リミックスに全く引けを取らないクオリティだ。やたらギラついた和風サウンドのカオス具合がいかにもMUROらしい。使い方次第で曲を高めも壊しもするMIKRISも「BROS」では絶好調。「Everybody Loves The Sunshine」を引用するあたりからの怒涛のヴァースでは、MIKRISのラップで盛り上がるという貴重な体験が出来る。