2011.04.09 Saturday
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1.消エ失セロ 2.オハヨー 3.カウパー feat.RANSEL 4.格言か苦言 5.Midnight hero feat.ZOO from Psychedelic Orchestra 6.禁じられた喜び 7.Skit ~Not Guilty~ 8.Dirty yellow 9.気の利いた言葉が見つからない 10.HANNIBAL 11.なんのこっちゃねん 12.犯り狂り上手 feat.K.Lee from BB9 13.真っ直ぐ進め ★★★★★★★★☆☆
ダメレコの月間ラップへの参加で一気に名を上げた名古屋のソロマイカー・呂布カルマの1stアルバム。2009年1月7日発売。
純ジャパニーズヒップホップ育ちといった感じの手堅くオーソドックスなフロウとライミング。その裏に「消エ失セロ」始めHIPHOPに対する至上主義的な愛が垣間見えるラッパーが、呂布カルマだ。ただし現代アングラらしく、そのラップスタイルはHIPHOPであること自体に満足するのではなく、HIPHOPという表現手段を通して自らの思いを、熱く、確実に伝えることを目的としたものである。それ故にこの1stアルバムは、それらしい彼の様々な事象に対する価値観が曲単位で語られる。「伝えたいことがある」ラップだからこその強度を備え、初のアルバムらしい、荒削りで直接的ながらも、彼と言う人間を、スピーカーを通して伝わるその言葉の熱量で窺い知れる作品だ。
侍やイド五月雨といった、恐らくは身内のプロデューサーで固めたトラック群は、一貫してシンプルかつストイック。アングラ作品の悲劇か、ボトムが極端に弱いのが残念だったりするのだけれど、それでもこれらのトラックメイカーと呂布カルマのラップが交わることにより目指している、実直なHIPHOP像の姿はしっかり見えるため、さして評価の妨げにはならない。そんなHIPHOPの汚れなき姿を追い求める呂布カルマにとってはワナビーでしかない輩をファストラッピンで切り捨てていく「なんのこっちゃねん」の言葉捌きは頼もしい限りだ。Psychedelic OrchestraのZOOと暗然とした雰囲気の中回す「Midnight hero」、テンポの良いマイクパスも捌けることを示して見せた、フリー音源も話題になったK.Leeとの「犯り狂り上手」など、客演との絡みも抜群に上手く、自分の舞台しか演じられない狭量なラッパーでないことを証明してくれた。特に前者のアングラチックな魅力は、このアルバムを買って良かったという思いを確実なものにしてくれた。
さして新鮮味のあるHIPHOPをしているわけではない。しかし地下世界で自分のイズムを磨きに磨いて吐き出したこのアルバムは、こんなに使い古されたストイックなHIPHOPスタイルであるのに、これが呂布カルマによって作られたこという点ででその価値が再構築された。何の目新しさもないけれど、呂布カルマがこれをやってくれて良かった。真面目にガンガン言霊を吐く一方で、下ネタを遠慮なくブリブリ捻り出す下世話さも○。
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