2011.04.09 Saturday
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1.More life 2.真夏の夢 3.ミッドナイトデート feat.MAYA 4.ラップ!!feat.サイプレス上野 5.Big Pay Back 6.closs over feat.aticus 7.雨の日曜日 feat.将絢(ROMANCREW),MAYA 8.Free 9.虹 10.44 11.GOOD LIFE ★★★★★☆☆☆☆☆
フリースタイルで名を上げたKEN THE 390の3rdアルバム。ダメレコに身を置いての作品としては本作が最後になった。2007年11月10日発売。
作品を出すごとに、やたらに声をうわずらせてラップに変化を付けようとする一本調子のフロウで凝り固まっていった印象。聴いていてただただ疲れるラッパーになってしまった。各曲によってそれなりのテーマを設けているのに、そんなことを忘れさせてくれるくらい貧弱なセンスで紡がれるリリックも退屈だ。数少ない長所である滑舌の良さが、皮肉にもそのつまらない内容をバッチリ聴き取らせてくれる。こんなにダメダメなラッパーだったっけ??
特に底にHIPHOPクラシックを敷きつめて、ジャズとの融合を図ったトラックが素敵なFUNK入道作の「真夏の夢」は、KEN THE 390のやかましいラップが乗った瞬間に真夏の夢っぽさが跡形も無く消える、ある意味アーティストとして奇跡の所業だ。他にラップの引き出しといえば、ほんとに「囁いてるだけ」のウィスパーラップも一応ある。がしかし、もちろんそのスタイルチェンジだけでスキル自体が変わるわけもなく、相変わらずのつまらなさ。特徴的な声という意味では同じなのに、atiusがフルートとベースの間を自由自在に駆けていく一方で、KEN THE 390がずっと囁き一辺倒の「Cross Over」では、その実力差が浮き彫りに。
「雨の日曜日」でも、物憂げなギターとの相性は完全に将絢が圧倒しているし、ソロ曲で聴けるのは、BPM速めのトラックによってそのウィスパーラップが新たな一面を引き出されている「Free」と、BEAT奉行とDJ大自然の合わせ技でKEN THE 390のテンションに上手く合わせたファンクチューン「Big Pay Back」くらいか。
「Cross Over」「雨の日曜日」「Free」「Good Life」と、手掛けた4曲全てがハイクオリティだったmattanやBEAT奉行、FUNK入道、ALI-KICK、カトウケイタと、この界隈ではダントツに高評価なトラックメイカーが集まっただけあって、トラックのレベルは本当に申し分ない。だからiTunesには大半の曲を入れたし、これからもたまに聴き返すことはあるだろう。でもそれは決して「KEN THE 390のラップアルバム」としてではない。本当に好青年だと思うしその人となりは素晴らしいけれど、それなりにキャリアを積んだラッパーの作品としては、ここまでつまらないアルバムもそうそうない。
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