2011.04.09 Saturday
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1.GO A GO! by Meteor 2.じっとしていられない 3.EARこっち 4.今夜のMOON LIGHT 5.THE VERY BEST OF・・・ 6.めくるめくMONEY 7.確かに 8.WATCH MY STYLE! Shout by GOUKI,KILO
★★★★★★★☆☆☆
知らないうちにひっそり出ていた、大和民族の3rdアルバム。2008年8月2日発売。
OLA-UTANGでの活動を経て届けられた本作は、ダメレコ快進撃真っ最中に投下された前作「東京トビドウグ」とはいささか趣が異なる。ダース総長の意向でレーベル作品全てに強制されていたローファイ音質縛りが解けたこともあり、曲数こそ前作の半分だが、より自由に、より「勢い」に誤魔化されずに彼らの音楽が理解出来る作品に仕上がった。僕も含めて大和民族=ローファイで音割れしてナンボのグループ、という認識しか持っていなかった人間にとっては本作は結構新鮮に響くのではないだろうか。
ダースとDJ Pan2がトラックプロデュースを折半していた前作とは打って変わって、5曲がMR.炭酸による製作。他はDJ Pan2が2曲、CAMELBACKのDJ TSUNEOが1曲といった割合だ。HIPHOPの基本に忠実なソウルフルな質感を押しだすMR.炭酸のトラックとガチガチに割れていた音質がクリアになったことにより、あの好き嫌いの別れるブッ飛んだ個性は無くなったが、彼らのラップの表情が良く見える作品となっている。ラップ、トラックをローファイ音質で全部まとめて「これが大和民族」と差し出していたあのノリとは根本的に異なる、こういうトラックにこういうラップが乗っていて、と分化して評価出来る。
そして音質とトラックの変化によりラップが浮き出た結果、特にCUTEが時折見せるクールなフロウが素敵なことに気付く。「じっとしていられない!」の出だし"走れ走れるのか?じゃぁ、まぁ気にせず空中でアクロバットキメる!"とか、こうして文字に起こすと自信を無くしてしまうが、事実音源で聴くと良い。3作目にしてようやく音質に縛られず自分達の今までとこれからを素直に語れた「THE VERY BEST OF...」の晴れやかな姿が清々しかったり、「めくるめくMONEY」でお金無くて困ってるんですよ、と告白出来たり。「勢い」なんて言葉に吸収されずに彼らのラップをきちんと聴いて評価出来るあたり、「東京トビドウグ」のノリに付いていけなかった人でもすんなり馴染める作品だろう。聴く場所、時間を選ばないのは間違いなくこっち。
1.民族大移動 2.AAA!! 3.断突 4.合言葉 feat.EI-ONE,はなび 5.四六時中 6.息抜き 7.正面衝突 feat.ダースレイダー 8.日本・東京・男・HIP HOP 9.オニフスベ 10.マジでさわんな feat.ガスケン 11.東京トビドウグ 12.夜 13.一体どこ? 14.RAP一等兵全体進め feat.107n,南国,ISO,ティグレ 15.電車の中の夢の中 16.コンチクショウ Bonus Track. One Time
★★★★★★★☆☆☆
インダラ、CUTE、DJ Pan2の3人組、大和民族の2ndアルバム。前作「ど真ん中」より2年の月日を経て、ダメレコからの発表となった。2005年9月10日発売。
ローファイな音質でノイジーに染まった声がダースレイダー以上に良く似合う、ダメレコのガレージ感増幅装置としての役割を身内作品で果たしてきた大和民族。そんな彼らのこのアルバムは、限界までのローファイ化なんていうその音楽的退行をそのまま推進力に変えた、マイナスとマイナスを掛け合わせてプラスに変えるような、何をやらかしても許される原始的ロックフィールドが舞台だ。
高音部分でいちいち音が割れるインダラのラップが心地良い(=気持ち悪い)。ドラムとベースと、あとなんか色んな楽器、くらいの音潰れまくりな混成法のトラックが心地良い(=気持ち悪い)。原曲のシャウトに合わせて堂々と悲惨な歌声を聴かせる「AAA」の勢いが心地良い(=気持ち悪い)。要するにちょっと頭がどうにかなった人に喜んでもらえるような、ある意味マイノリティ救済を目指すHIPHOPの美しい理念を体現した音楽だ。自分に合った他の打法に気付きながらも仁王立ちでフルスイングして空振りするような、全力で砕けにかかるこの無茶苦茶な勢いにアガった方はどこかで進む道を間違えたんだろうと断言出来る。そしてその道は引き返さず、このアルバムを手に携え更に一歩歩みを進める事を強く勧めよう。
裏のサックスが唯一HIPHOPの基本形を留めた音を奏でている「東京トビドウグ」、音質でブッ飛んでるけど実はリリックが巧みな「夜」、彼らのベストとも言えるガレージビート総決算の「コンチクショウ」が凄く良くて、でもそんな無茶ぶりな作り方やってるもんだから曲によっては煩いだけになってますよとか、そんな無粋にこのアルバムを分解しているのは僕だけでいい。このノリがイケた方は何がどうとか気にせずに、主に頭を悪くしたいとき・不意に人混みで奇行をしたくなったとき・好きな女の子に「どんな音楽聴いてるの?」と聞かれたときなど、人生の重要な局面でこのアルバムを活かしてください。きっと理想的な結果が得られることでしょう。肩凝りにも良く効きます(適当)。
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