2011.04.09 Saturday
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1.YES feat.CO-KEY 2.THE ARSONIST 3.NO PAIN NO GAIN feat.CO-KEY 4.YES -G.R.R.MIX- feat.CO-KEY 5.YES -INST-
★★★★★★★★☆☆
HILLが同年12月発売の1stアルバム「THE DAY」に先駆けて発表した5曲入りEP。2002年4月26日発売。ちなみにブックレットには"HILL DEBUT ALBUM COMING 2002 SUMMER!"と記載されているが、まぁ遅れるのが常のこの業界、気にしてはいけない。
ここに収録されたオリジナル曲は全て「THE DAY」にも収録されたため、これで1470円という値段は結果的に見れば割高だったろう。ただ結果論を抜きにして評価すれば、「YES」と「NO PAIN NO GAIN」というクラシック2曲を世に送り出したた本作の持つ意義はおおいに在った。「THE ARSONIST」だけはやっぱり何度聴いてもオリジナルの「放火魔」より数段落ちると感じるけれど。「放火魔」の持っていたあのテロリズム的な何をやらかすかわからない危険臭は、やっぱり90年代のホラーコアな音の方が合うのかも。
アルバムが発売されてちょうど7年が経った今となっては、このシングルの価値はやはり「YES -G.R.R.MIX-」にあるだろう。トラックプロデュースは、アルバムでも「THE DAY」を手掛けそれまでのアルバムの流れを上手くクールダウンさせたCALVOの手による。どんなパーティーにも対応するフロアアンセムとなった原曲のアッパーなイメージからは一変。サウスの匂いのするダーティなコード進行にテクノっぽい電子音を組み合わせたダークな仕上がりだ。オリジナルを超えたかと言われるとさすがにそこまで褒めちぎれるものではないが、結果的にアルバムのどの楽曲とも毛色は異なるので、これはこれで十分楽しめる。
そして「YES -INST-」では改めてその音のタフさを感じる事が出来る。まぁ同時にこれがLIBROによるものだという事に重ねて驚く事になるのだが…。現在でこそ名作であるアルバム「THE DAY」を買ってしまえばほとんど事足りるものの、当時においては、このEPは1500円近い値段を押してでも買う価値のあった作品だろう。
1.INTRO 2.HILL IS STILL ILL 3.YES feat. CO-KEY 4.ポリス・ストーリー 5.THE DAY feat. T.A.K. THE RHHHYME 6.G.R.R EVENING NEWS 7.THE ARSONIST 8.危険地帯 DANGER ZONE Produced 9.RADIO SKIT feat.RYU 10.UP&DOWN feat. CO-KEY 11.NO PAIN NO GAIN feat. CO-KEY 12.WALK THIS WAY 13.OUTRO Produced
★★★★★★★★★☆
名作コンピアルバム「悪名」でのZEEBRAとの「飛んで灯に入るWACK MC」やソロ音源の「HILL'S STREET BLUES」、「ライミン術」など、90年代のHIPHOP黄金時代を支えた、「参加音源=名作」の男・HILL THE IQ改めHILLの1stアルバム。長い沈黙の時を経て2002年12月11日発売。
90年代に小出しにされた参加楽曲群。そしてそのどれもがクオリティは一級品。本作はいつドカンと動くんだとヤキモキしていた当時のリスナーの募り燻る思いを、2002年になって見事完全燃焼させた。
HILLのラップはイカしたジャケットが示すとおり、初めて地下からその顔を出した時と同じ黄金期のスタンダードスタイルだ。小節の終わりにはカッチリ韻を踏んでやるのがラップってもんだし、相棒たるビートから言葉を逸脱させてスピットするフロウなんてもっての外。そんなHIPHOP黄金期のラップを2002年になっても堅持。ただし音に関してはあの頃の煙たい音を何の工夫も無しに持ってきて、安易に生きた化石的に評価を上積みすることはない。このラップを載せるのは、あくまで時が歩んだ分だけ進化したトラックに、だ。
「そんなの噛み合うはず無い」って??そんな不安は、1998年発売の「DRUM METHOD」収録の「Danger Zone」の歌詞とフロウをほぼそのまま借用したラップがDJ DAIのトラックと余裕でがっぷり組んだ「危険地帯」が、原曲と同等、もしくはそれ以上のカッコ良さを得ているのを聴けば無用なものだとわかるはずだ。
LIBRO作とは思えないほどアッパーなトラックに載せる「YES」も2002年でこその音であり、そこにHILLのラップがビートに忠実なものであったからこそパーティークラシックとなったと言える。
DJ SACHIHOの手掛けた「ポリス・ストーリー」「THE ARSONIST」こそやや勢いは落ちるものの、それ以外は全て名曲クラスと言って良い。「HILL IS STILL ILL」でインパクトあるハイハットを携え地下から再登場→クラブへ直行してパーティーを盛り上げ、帰宅→夕方のニュースを見て世を憂う→夜、再びクラブへ。この一日の流れを見事に描いた流れも気持ち良いし、合計で40分という時間も抑揚があるわけではないHILLのラップアルバムとしてはベストだ。3曲にラップ&歌で参加したCO-KEYもその後の自身のソロ作品よりずっとカッコ良い仕事をしている。90年代のHILLに期待を抱き続けた往年のリスナーにも、2002年にこのアルバムでHILLに出会ったリスナーにも、ついでにある程度は2009年現在のコンシャスなHIPHOPテイストの潮流にも、全方向的に対応する名作だ。発売された当初からヴィンテージ的であるという時間的矛盾を孕んでおり、だからこそ2002年当時において現代的。
追記:この作品発表後、再びその姿を音源で確認することの出来なかったHILLだが、GRAPPLUZのJAYER主導で完成された2007年12月5日発売のコンピアルバム「PATRIOTS」収録の「WACK MC」に参加した。しかしこれ以降は再び音楽活動は途絶える。多分もうラップは辞めちゃったんだろうなぁ。残念。
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