2011.04.09 Saturday
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1.BPM90 2.ブレイクダンスは頭で回る 3.トップシークレット 4.魔法のホーキ 5.蘇る朝、生える手足 6.勢いのある曲 7.Baby 8.ラッキーなストライク 9.繰り返すフリージャズ 10.BPM120 11.ポップス 12.オープニング 13.黒の子守唄 14.メカニコング 15.ロック&スクロール
★★★★☆☆☆☆☆☆
HIPHOPに留まらない事でHIPHOPのメンタリティを維持し続ける二人・ECDとイルリメのタッグアルバム。2005年12月16日発売。
ラップがまともに入ってない曲が何曲もあり、音としても一般的なHIPHOPの枠組みから評価することは断念せざるを得ないだろう。音も言葉も頭にふと浮かんだものをそのまま録音してしまおうくらいの意気込みで作られた作品で、アルバムにさしたる狙いがあるわけではない。トラックは破滅的なブレイクビーツが跋扈し、そこに他ジャンルの音をブチブチとちぎり取って繋ぎ合わせていく事で完成されている。その感覚的な製作姿勢の結果、そこに計算では辿り着けない何かが生まれているならば全部まとめて「グルーヴ」なんて便利な言葉で褒めちぎって終わる事も出来ちゃうのだけれど、残念ながらこの言葉に当てはまる音はこのアルバムには無い。
ノンビートでラップする「BPM90」と「BPM120」を除いて理性を排除し加速度的に壊れていく言葉と音は、ギリギリの一歩を踏み外した結果言葉の意味通りでしかない猥雑さを増し、アルバムが進むにつれて「聴く」という行為をただの苦行にしてくれる。「ブレイクダンスは頭で回る」はその単語の端々に機知に富んだ洞察を垣間見れ、トラックも一般的なブレイクビーツであるがために唯一まともに聴ける。が、それはいかにHIPHOPから離れて楽しむかを追求した今作において最も「HIPHOP的」な楽曲であるためで、本人達にとっては皮肉でしかないだろう。他は音楽に辿り着けなかった失敗作が並ぶだけ。
この手の作品は本人やファンが「この音楽の良さがわからないならまだまだ素人だな」と言い逃げしちゃえばそれまでなのでこうしたレビューには不向きな作品であろうし、そもそも言葉による説明・解説がどれほど意味を持てるのかも疑問ではある。それでも音を、そしてその感覚を文章にして並び直して再整理するという行為は必ずしも無駄ではないだろう。やりっ放しのテストに価値はない。
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