2011.04.09 Saturday
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1.INTRO/AIR LINE 2.RUN THIS TOWN feat.Hiro-A-Key 3.BEST YOU EVER HAD 4.HANDLE U 5.GET DAT feat. Hum-R 6.FIGHTER 7.SENCE&GROOVE 8.REAL REAL GOOD 9.DON`T GIVE A... 10.DREAM WORLD 11.PLAYA 12.MAGNIFICENT 13.PAPER CHASER feat. NEX of CRIXX 14.NO MORE 15.HIPHOP 16.JUST SMILE 17.OUTRO 18.HARLEM (BONUS TRACK)
★★★★★★★★☆☆
AKLOは日本人の母親とメキシコ人の父親を持つラッパー。幼少期を東京、大阪、大分、NYで過ごし、現在はウェールズ王立音楽演劇大学でギターを学んだという空とのユニット・AKLOと空としても活動を続ける。このアルバムは彼のブログで無料配布されているフリーダウンロードアルバムだ。2009年11月7日発表。 この作品で初めてAKLOを知ったが、ラップに関してはかなりSEEDAに近いものがあると言える。滑らかな発音の英語を活かしたバイリンガルスタイルで、小節を飛び越え上手くテンポを外すフロウなんかは、SEEDAを参考にしたのかお互いアメリカを意識した結果なのかは知らないが、かなり似ている。
そんなAKLOの作品は当然アメリカのHIPHOPを抜きに語れない。「おもしれー音楽が毎日アップデートされてるアメリカみたいな状況を東京でも」をモットーに、向こうの主にメインストリームの音楽を日本語で試みている。
サウスの要素を内包したダーティなシンセとドラムプログラミングが織り成す音の中を進むAKLOのラップは、日本語であるがために出遅れる事は無い。全ての曲を耳に煩わしくない程度のHIPHOPマナーに乗っ取った自己主張を孕みながら難なく乗りこなしていく技量はかなりのものだ。
リリック自体はさほど既存の日本語ラップと比べて大きな特徴があるものでもないので、トラックとフロウの見事な共存を音として楽しむのが吉だろう。TNDやhammer da hastlerも提供したトラックは本場の音になんら劣らないレベルの高さもあって、うわべを金メッキ装飾した紛い物とは一線を画す耳の痛くならない迫力と適度な浮遊感を兼ね備えており、何度でもリピートしたくなる(※)。そしてAKLOとトラックがガッツリ向き合った中でも、ギターが印象的な「 Run This Town」でのシンガー・Hiro-A-Keyと見せるAKLOの堂々たる立ち居振る舞いは既に一流のそれだ。嫌味無くゴージャスに鳴るシンセとの噛み合わせが心地良い、決意表明となる「DON'T GIVE A」や、NYでの生活を振り返るレイドバックしたナンバー「HARLEM」も良い。全編英詩でHIPHOPへの愛を歌う「HIPHOP」、「JUST SMILE」の2曲も見事だ。また、「GET DAT」と「SENCE&GROOVE」は、僕の知る限り日本のHIPHOPで初めてまともにGrime式HIPHOPを鳴らした曲だ。アメリカの猿真似だなんて思考停止な批判の言葉は一度胸にしまって聴いてみよう。日本より遥かに広い土壌で様々なHIPHOPが試行錯誤されるアメリカのHIPHOPを日本でも試してみる事はそれこそ日本語にこそ見合ったHIPHOPを見つけるためにも決して無駄な行為ではないし、ましてや盲目な追従なんかじゃない。その意味でこれだけ日本語と本場の音を齟齬無く組み合わせた作品を無料で配るAKLOの活動は、あくまでも日本語ラップがHIPHOPと同義であるために絶対に必要な渡し橋の一つだ。AKLOと空で発表しているアルバムにも俄然興味が出てきたし、これから要注目のアーティストだ。これからも刺激的なHIPHOPを期待したい。
最後に、twiterで僕をこのアルバムに引き合わせるきっかけとなるポストをして下さったvinylism様、corp0music様に心から感謝。
※ときチェケさんの記事を見て初めて知りましたが、トラックのうち「Run This Town」など幾つかはUS新譜のトラックを使っていたんですね。新譜を逐一追っかける金銭的余裕のない僕には気付けませんでした。申し訳ありません。
Youtube PV - AKLOと空 "moonlight"
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