RATID -Realize A Thing In The Depths-

新年度からは下ネタを言わない。
遼の最近読んだ本
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

web拍手
| - | - | -
ペイン・キラー / ビートマスター



1.INTRO
2.軌道修正
3.FULL MOON’99
4.深夜問答
5.INTERLUDE
6.軌道修正
7.昨日見た夢feat.KAI
8.GROWING UP



★★★★★★☆☆☆☆


後に発表されることとなる傑作二作品に比べるとやや劣るでしょうか、「日本語でのHIPHOPの究極系」、ビートマスターの1stEP。餓鬼レンジャーやイルマリアッチと時を同じくして静岡から名乗りをあげた彼らですが、この頃から「日本語を如何に美しく聴かせるか」を突き詰めた魅力あるライミングを披露しています。一方で後に大きな進化を遂げることとなるKO-1のトラックメイキングはまだまだ荒削り。貧弱なビートに「とりあえず乗っからせてもらいますサーセン」と遠慮がちに弱弱しく鳴る上ネタ。90年代の日本語ラップ作品が陥りがちな図らずしてなってしまった、地味〜なトラックが殆どです。ただそんな中で別格扱いで取り上げるべき曲が一つ。そう、後に「FULLMOON2000」へと続くことになる「FULL MOON'99」です。もうこれは彼らの代表曲となるクラシック!!先程はボロカスに言った90年代特有の地味さを「渋味」に変えて完成した、夜の街をかっ飛ばして行くような気持ち良さ溢れる一曲です。ラップについてはとっくに合格点な二人なので、こんな奔るトラックがあれば超一級品のフロウの掛け合い。特にKO-1のキレキレっぷりは見事。そんな彼が自叙伝的にソロで語る「GROWING UP」や唯一DJ NARITA製作の「軌道修正REMIX」もそれなりに聴けるけど、やっぱりトラックの元気の無さは否定できず。やはり「FULL MOON'99」と、KO-1とKENGOの職人技ライムを楽しむ一枚でしょう。
web拍手
21:52 | BEATMASTER | comments(0) | trackbacks(0)
NIGHT KAHRIMAN / BEATMASTER
まず本文に入る前に、レビュー本文に書くと長くなりすぎるのでこっちにちょっと先に書かせてもらいます。


−オレにとって本当にカッコいいHIPHOPとしてのライミングとは??


って事で。レビューだけ読もうって方は飛ばして頂いて構いません。

唐突ですが、僕は彼らBEATMASTERこそが日本で韻の踏み方が最も上手かったグループだと思っている。毎回五文字以上踏むわけでも、同じ文章中に3回も4回も踏むわけでもない。踏むのは大体文章中に2回ほどで、踏む文字数も特別多く無い。しかしむしろこれこそHIPHOPとして完成されきった究極のライミングだ、と僕は思っている。最近の風潮では文字数が多かったりだとか、文章中に意味の通る文で何回も踏んだりだとか、ユーモアのある突拍子もない韻だとかがやたら持て囃され「踏み方が上手い」と言われる。
その最たる例が韻踏合組合とICEBAHNだ。誤解しないでほしいのは、僕もこれらのグループは大好きだし、音源も好んで聴いている。しかしその上で言うと、そのライミングは果たしてラップに付随したものなのか??むしろ韻にラップが踏まれているのでは??という疑問がある。まず韻がありきでそこにフロウやラップの内容が付随する事は僕は本来の韻の役割を果たしていないと思っている。勿論本来の型に留まり続けろ、なんて言うつもりはないが、それと韻が前面に出てきてラップそのものがそれに付いていくなんて事はHIPHOPにおいてまったく別次元の問題だろう。
要はそれはそれでカッコ良く僕も好きであるが、「そのライミングはHIPHOPとしては??」という疑問が個人的にはあったりする。更にもっとあえてキツイ言葉を言わせて貰えばライミングを押し出したラップを聴いて満足する人々の感想っていうのは「そんな韻の踏み方が出来るなんてすげぇ!!」ってのがあるわけで、それだけじゃサーカスを見て「そんな事が出来るなんてすげぇ!!」って言ってるのと同じ事だ。(勿論それだけに留まらないフロウやスキルの高さも相まって彼らが名曲を生み出している事も知っているし、だからこそ僕も彼らが好きです。ただここではあえて「韻踏み」だけに焦点を当てた話ですので)
それはあくまで韻の上手さを前面に押し出したラップであって、ラップをカッコよく魅せるために付随した韻ではないと思う。そして韻にラップを嵌め込むタイプの彼らに対して、あくまでラップに韻を組み込むタイプのライマー達がいる。それが走馬党であったり、BEATMASTERだったりするわけだ。前者と後者はよく同じ括りで出されるが、似て非なるものだろう。
で、あくまでも韻がラップに付随するラップをする中で、彼らBEATMASTERのライミングの上手さといったらそれはもうハンパじゃない。文末で数文字踏むだけで、こんなにも言語センスがよく、上手いと思わせられるラッパーがいるだろうか??(特にKO-1)たった3文字程で上手いと思わされ、そこに文学的なリリックが完成する。そして次の3文字に、一連のリリックにワクワクさせられる。彼らこそ天才だと僕が思うのはそういう事で、だからこそ日本で最高のライマー達だと思っている。
勿論他にも色々ライミングについては見方があるだろうが、僕の観点で言えばHIPHOPのラップとしての真の韻踏み屋とは彼らのような男達に他ならないわけだ。

って事でまだまだ詳しく語りきれてはいませんが、
             そういう思考段階を踏んだ上でのレビュー↓






1.INTRO
2.さらに夜へ急ぐ
3.続.哲学と文学の音楽feat.LOVE PUNCH
4.INTERLUDE PT.1
5.人生ゲーム〜花びらPT,2〜
6.TIME OPERATORfeat.BOMBER
7.WHAT’S YOUR NAME?〜成田劇場〜
8.BEATMASTER
9.INTERLUDE PT.2
10.モノクロームの英雄
11.最強の強敵
12.FULL MOON’2000
13.OUTRO



★★★★★★★★☆☆



という事でレペゼン浜松、BEATMASTERの1stフルアルバム。先述した文学的でセンスがキラリと光るリリックを崩す事無く叙情的な曲からアッパーチューンまで卒なくこなす技量は流石。彼らの曲というのはいわゆる「当たり」と「外れ」の差異が非常に少なく、どの作品でも一枚通して揺るぐ事のない安定感を感じることができる。どんなシンプルなトラックでも、派手なトラックでも舌先ひとつでどうにでも味を出せるラップを持っているため聴く側としても出された作品に絶対的な信頼を寄せる事が出来る。一見さんにも日本語ラップを聴きこんだファンにも受け入れられた彼らの評価の高さにはライミング以外にもこの「卒のなさ、安定した仕事ぶり」が挙げられると思う。「人生ゲーム〜花びらPT,2〜」の後に「TIME OPERATOR」のアゲアゲビートが来たって戸惑う事無くすぐにリスナーの方からその世界に順応できるのはそうしたところからだろう。だからといってマンネリ感が漂うわけでもなく、どの曲をいつ聴いても飽きずに聴けるのは本当に凄い。この作品も例外ではなく、特に「さらに夜へ急ぐ」は短めの曲ながらかなり長く聴ける。綺麗すぎるリリックセンスが遺憾なく発揮されていて渋すぎる。こういう噛めば噛むほど味が出てくる曲を作る一方で、SAME TITLEの「BEATMASTER」等のパワー押しの楽曲で一発でカッコ良さを見せ付けてくれる。アルバム中のこの連鎖がたまらなく快感だ。締めを飾る「FULL MOON’2000」も前作の名曲「FULL MOON'99」とは打って変わっての無機質なギターリフが鳴り響くが前作とはまた別次元の魅力を帯びた名曲に仕上がっている。これもまた彼らが確実に進化していた証と言えるだろう。KO-1のラストヴァースに耳が持ってかれる事必至。しかしこれだけ熱く、高く評価してももう過去形でしか彼らを語れないのは本当に残念なところだ。正しく日本語ラップの体現者であった彼らを超えるグループはそうそう出てくるもんじゃないだろう。だからこそ短すぎた彼らの歴史の中で、今なお光り輝くこのアルバムを、いや、どの作品でもいいから手にとって欲しい。きっと他のラッパーにはない「純粋な日本語の力」を感じれるはずだ。因みにOUTROも秀逸。OUTROで感動してリピートしたのはこれが初めて。
web拍手
23:45 | BEATMASTER | comments(10) | trackbacks(0)
BLACK SUNRISE / BEATMASTER




1.Black Sunrise
2.Hybrid MC'sfeat.BOMBER,LOVE PUNCH,GROUND THE FLOW
3.Black Sunrise (Remix)
4.Hybrid MC'sfeat.BOMBER,LOVE PUNCH,GROUND THE FLOW(Remix)



★★★★★★★☆☆☆




日本語ラップ史に刻まれる傑作「無限大∞」からの先行シングル。アルバムに原曲は両方とも収録されたので自然とレビュー対象はリミックス版に向くがわざわざリミックスのためだけにレビューを書き上げるほど特筆しておきたいのが「Black Sunrise (Remix)」。原曲は良くも悪くも大人しめの作風でどちらかといえばスルメ系な曲ではあったが、「無限大」の中においては飛び抜けた出来でもなく埋もれがちな存在だった。対してリミックス版はトラックが深夜帯を思わせる不穏な空気を帯びていて一気にダークサイドに傾倒。かなり聴き応えのある佳曲に仕上がっている。これが日本語での正統派ハードコアスタイル、といえる彼らの中でもお手本的作品。「Hybrid MC's」は原曲、リミックス共に可も無く不可も無くといった感じかな。フックアップされた2グループも特にインパクトを残すわけでもなく。がしかしとりあえず「Black Sunrise (Remix)」の存在がBEATMASTERファンにとってこのシングルにコレクションアイテム以上の意味を持たせている事は間違いない。
web拍手
01:14 | BEATMASTER | comments(0) | trackbacks(0)
∞〜無限大〜 / BEATMASTER



1.INTRO
2.BLACK SUNRISE
3.DJ NARI-NARI
4.∞~無限大~
5.BIT OF SHOWCASE
6.PREMIUM INVITATION
7.紺碧の痕跡
8.SWING BEATS
9.宵待草
10.DEPARTURE
11.SPRIGGAN’S MIC
12.RESPECT TO STAFF
13.空っぽの砂時計 feat.MASAO{SWING}OKAMOTO
14.HYBRID MC’S feat.BOMBER,LOVE PUNCH,GROUND THE FLOW
15.OUTRO


★★★★★★★★★☆





浜松から全国へ「日本語」を発信、BEATMASTERの2ndアルバム。イルマリアッチや餓鬼レンジャーと共に地方勢グループの先駆けとしてP-VINEレコードにプッシュされたBEATMASTER。しかし有名どころとfeat.し、早々にシーンの中心に立ったイルマリアッチ、餓鬼レンジャーとは正反対に、彼らはあくまで完全に地元での活動にこだわり抜いた。その結果知名度や音源の売り上げ等は確実に劣る事となったが、本当に地元一本で貫き通した彼らにもまた「本物の地方勢」と彼らの確固たる信念を感じさせられる。そんな彼らのスタイルは日本語の美しさを最大限引き出した「日本語ラップ」。KO-1、KENGOのリリックの端々に感じる選りすぐりの日本語の語感の気持ちよさは他のどんなグループにもない彼らのオリジナリティだ。このアルバムはそんな彼らの間違いなく最高傑作である。
とにかく捨て曲の見当たらない完璧な仕上がり。INTROからOUTROまで、アメリカのHIPHOPに必要以上に感化されているようなラッパーにはない、どこか日本らしい落ち着いた気品あるカッコ良さを持った音が流れていく。特に「∞"無限大"」や「PREMIUM INVITATION」、「紺碧の痕跡」なんかは名曲と言って差し支えない出来映え。派手さはないが本当に味のある、小気味良い日本語でのマイクパスが繰り広げられる。この三曲のためだけにでも買う価値があると言っていい程。「紺碧の痕跡」なんかはテンポの速い曲で彼らの滑舌の良さが際立ってカッコ良い、誰もがすぐ気に入るようなナンバーである。そして僕がこのアルバムの中で最も推したいのが「宵待草」だ。このBEATMASTERのトラックのほとんどを手掛け、ラップの上手さでも一歩抜きん出ている感じのあるKO-1のソロ曲。幻想的なトラックに乗っかるKO-1の詩的なリリックは上質な文学作品を読んでいるような気にさせられる。こういう曲を作り、ラップの出来るラッパーというのは今のアメリカのメインストリーム的なHIPHOPが横行するシーンにおいてとても貴重だと思う。
とにかく全曲全てが素晴らしい完成度を誇る間違いなく名盤と呼ぶべき作品。あえて不満を言うならばSKITが多い事だが、それもまぁ気にならない程度。THA BLUE HERBや降神やSTERUSSのような哲学的、文学的なHIPHOPや、韻踏合組合や名古屋、北海道、仙台勢のように地元を中心に活動するグループが評価されるようになった昨今、90年代から浜松に留まり地元一本でそんな文学的なHIPHOPを貫き通した彼らが居た事を忘れないで欲しい。哲学的になりすぎるわけでなく、王道である単純なアッパーチューンまで文学的で繊細な世界観でこなす事のできる彼らは遥かに抜きん出た実力を持つグループであった。先を行き過ぎた故に当時のシーンであまり目立たなかったのかもしれないが。とにかく多くの人に知ってもらい、手に取って聴いて頂きたい。この日本には2002年、地元でこのアルバムによって「日本語ラップ」のひとつの形を大成した、素晴らしくカッコ良い男達が居たのだ。
web拍手
12:48 | BEATMASTER | comments(0) | trackbacks(0)

03
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
>>
<<
--