2011.04.09 Saturday
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1.いいの 2.ジゴロメン 3.レスキュー feat.DOHZI-T 4.ハンティング・ワールド feat.Cassete Vision(Little,Kreva,Cue,MCU,Voice,Sohjin,Channel) ★★★★★★☆☆☆☆
KICK THE CAN CREWとして活動し始めた頃にLITTLEが発表したソロデビューミニアルバム。1998年11月15日発売。
日本のHIPHOP界を代表する韻の上手さはこの頃から既に完成形。後々シリーズ化された「いいの」はリリックが丸々同じため、今になっては「Mr.Compact」や「聖者が街にやってくる」に収録されたヴァージョンを聴けば、2001年、2004年発売のこれらの音源で聴いてもまったく古臭さを感じさせないところにその韻の質の高さが伺える。ただそれを扱うラップスキルがまだまだ追い付いていない。この作品での「いいの」では発声も物凄く不安定、音も何度も外しそうになるわで聴いていてヒヤヒヤさせられる。
当時Radical Freaksとして活動し、名作「地球人?」を発表していたMCU、By Phar The Dopestとして「By Phar The Dopest」をリリースした直後であったKREVAと比べるとまだ経験が足りなかったのかもしれない。それでも圧巻の韻術を見せているわけだから逆に凄いとも言えるけれど。そんなMCUやKREVAを擁するRadical Freaks、By Phar The Dopest、そしてCHANNELとSOHJINによるINNOSENCEと共にジゴロにマイクを回していく「ハンティング・ワールド」は今から見れば最も気になる曲ではあるだろうけれど、ハッキリ言って資料的価値以上の何かは見出せない薄っぺらい出来。みんなこの頃から韻が上手いのは確かだけど。特にこの曲でしかマイクリレーものに参加していない(はず)Voiceのラップは、聴けること自体有難い上にこのメンツの中でも一際目立つくらい上手い。つくづく脱退が悔やまれる人。
「ジゴロメン」も曲としては面白みに欠け、今聴くと4曲中3曲には時代的なありがたみしか感じないが、唯一「レスキュー」はこれからも伝えていくべき名曲だろう。スケボーキングのSHIGEOとのただただ不快なカバーもあったが、原点であるこちらが圧倒的に素晴らしい。ブックレットを見るにLITTLEにラップを指導したらしいDOHZI-T(やっぱLITTLEにとっての彼は影響大きいんだね)を客演に迎え、DJ BASSがトラックを担当したZINGIスタイルでの一曲。視界が開ける様なDJ BASSの晴れやかな音の上で、DOHZI-TのHOOKが、LITTLEのラップが気持ち良さそうに駆ける。LITTLEのスキルの多少の不安定さも何のそのでライムが奔る。大好きな一曲だ。
「レスキュー」が無ければ本当に当時に思いを馳せながら懐古するしかないような出来、というのが正直なところだけれど、この曲の存在でこのミニアルバムは日本のHIPHOP史で見落とされてはいけない作品となったと言える。
ところで余談ではあるが、KICK THE CAN CREW絶頂期の頃に発表されたLITTLEの1stフルアルバム「Mr.Compact」にいくらか漂うハードコア臭にやられて「こっちがLITTLEの本当の姿だ!!」と叫ぶ方をたまに見かけるが、その「Mr.Compact」以前に発表されたこのミニアルバムを聴けば、やはりLITTLEの原点はここで、その道をまっすぐ行けばKICK THE CAN CREWの小さな喋り屋のポジションがあったことを理解出来るだろう。つまり「Mr.Compact」はKICK THE CAN CREWがあったからこそ対立軸として見せた合わせ鏡なのであって、故にあのアルバムだけが彼のキャリアで異質なのだ。
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