2011.04.09 Saturday
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1.HO! C! YO! feat.GAKU MC 2.DA TOKYO FURYO K-KAKU 3.KANI♀ 4.TOKYO SUCKA CLAN <東京錯乱>feat.MC ZINGI,DOHZI-T,SKIPP 5.De Ja Vu
★★★★★★★★☆☆ バブルガム・ブラザーズのBro.KORNのラップソロプロジェクトとして発表されたミニアルバム。意外にもそこまで古い作品ではなく、キングギドラの「空からの力」('95年12月10日)が世に出るおよそ5か月前、1995年7月21日の発売だ。
Bro.KORNのラップ自体は今のHIPHOPから見れば決して上手いわけではないが、日本のHIPHOPがようやく形になりかけているこの時代特有の追い風も得て今でも魅力的な輝きを放つ。韻を踏む、という行為が絶対的なラップ技法になっている時代でもない。ともすれば只のダダ喋りに陥る所をそのリズム感でギリギリその一歩手前で踏み止まらせ、逆に韻に縛られないことによって確保されたリリックの幅は、HIPHOPという形を取ること自体苦心する作業だったこの時代を鑑みれば上出来と言えるだろう。今でも十分聴ける出来栄え。
そしてバブルガム・ブラザーズでの経験を活かしたトラックメイクも実に良く出来ている。環境のせいもあろうが音質の面でも同時代の他の日本のHIPHOPと比べるとかなり低音まで良く出ていて、体の中まで響きそうな歪んだビートが気持ち良い。
GAKUと組んだ「HO! C! YO!」なんかは、EAST ENDのノリを持ち込んだ楽しげな様が嫌味無いワールドイズマインものながら、芯のビートはきっちり真っ黒に染め上げられているし、今作でも秀でた出来の「DA TOKYO FURYO K-KAKU」の音のミスマッチ性が生み出す公式無視なグルーヴも滅茶苦茶カッコ良い。ゴキゲンなホーンの前をシンセが張って、ズンドコビーツがヤンキーな不穏さを吐き出すこのトラックのカッコ良さなんて、「細分化された」を言い訳に西やら東やら、各々がジャンル分けされ、分断されている今のHIPHOPからは生まれませんよ。「カッコ良いものは全部突っ込む」を地でいったファンキートラック。特にイントロから声ネタが入って、Bro.KORNのラップが乗るまでの素晴らしすぎる展開は失禁もの。
しかしこの作品のメインはやはり「TOKYO SUCKA CLAN」だろう。この曲のトラックは唯一Bro.KORNではなくDJ YUTAKAによるものなのだが、これは彼のベストワークではないか??DJ YUTAKAの以後のソロアルバムでは引き算的なトラックがその痩せ細った姿だけを晒していて2nd以外ほとんど良いと思った曲がないのだが、この曲での彼の音は、気だるげなホーンが、静かに蠢くベースが、落ち着き払ったドラムが、要所要所で挿入されるギターサンプルが、そのすべてがその体躯に土臭い埃をいっぱいに纏ってパフォームしていて、最高にブルージー。その上で仁義が、Bro.KORNが、まだ声が甲高い頃の童子が偽物征伐するのだからカッコ良くないわけがない。後世に語り継ぐべきクラシック。SKIPPはオマケ。
元祖ビッチもの「カニ♀」や狙いすぎ、かつやりすぎた感のあるラブソング「De Ja Vu」辺りはあまり好きになれないが、今からでも聴いておいて損はない作品であるのは間違いない。「HO! C! YO!」ではYOGGYやCa2O(Mellow Down)、「De Ja Vu」ではDJ BEATも参加。DJ YUTAKAや東京仁義一家にGAKU MC、そして何よりBro.KORN自身も含めて、忘れてはならない大物ながら、今日本のHIPHOPの歴史を語る時には通り過ぎられがちな彼ら。その忘れてはならない活動の記録を埋める資料として、質的にも申し分の無い作品であろうことに異論を唱えるリスナーはほとんどいないだろう。特にMC ZINGIとDOHZI-Tの「TOKYO SUCKA CLAN」への参加については、この曲への参加が、「夢」後のZINGIをこのミニアルバムから一年後にお披露目となった名作「TOKYO TRIBE」の路線へ向かわせる事に何らかの影響を与えたのではないか、と言ってもあながち的外れではないのでは。
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