2011.04.09 Saturday
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1.Intro〜air-raid alarm〜 2.Little Boy & Fat Man 3.戦友 4.Talkin' about my hood 5.Tought Not Enough feat.E-eight 6.Matter Fact 7.Winning The Case feat.DJ SIDE-2 8.Dedicated... feat. 來々
★★★★★★☆☆☆☆
1stフルアルバム「Hydrophobia」発売からちょうど一年後、2006年4月20日に発売されたミニアルバム。日本のHIPHOPの中でも割と名の通った存在であった割に、実はPhobia Of Thug名義で出した作品は2作品だけ。Little BoyとFat Manという、広島、長崎の原爆の名を自身に照らし合わせたサブタイトルを冠しての登場だ。
とは言ってもタイトル曲も戦争という題材そのものをメインに据えたものではなく、「戦友」と合わせて、あくまでも戦争に見立ててラッパーとしての自らの活動を描いた曲だ(勿論戦争自体への言及も幾分かはあるが)。そして4曲目「Talkin' about my hood」以降は全くリリックの題材としては戦争は関係なく、いつも通りのノリで展開します。
ただハスリン(orラッパー)仲間との別れを戦場での別れに見立てた「戦友」は、アイデアは良いのに音が勿体無い。トラックを手掛けるほぼメンバーみたいなDJ 4-SIDEがビートに乗せた「いかにも」なシンセは、しようと思えばいくらでも情緒的だとか哀愁漂うなんて言葉で擁護出来るんだろうけど、正直良く頑張ってるリリックの重さに比べるとあまりにも軽すぎる。もっと泥まみれのビートであればリリックとも彼らの声とも相性が良く、語られる言葉の生々しさも何倍も違っていたことだろう。その点「Little Boy & Fat Man」にはまだその傾向が見られるため、幾らか歯応えのある出来に仕上がっている。
他のDJ 4-SIDEのプロデュース曲も余りにも迫力が無さ過ぎてこの作品に関しては関わらない方が良かったんじゃないかと思ってしまう。逆に他のトラックメイカーが頑張っていて、中でも海外から迎えたG-MAN STANが腕を揮った「Tough Not Enough」は良い。ヴァース部分では下層で唸り続けているベースが、HOOKではコード進行はそのままに尖ったギターへと姿を変え一気に牙を向く。ドライな切り捨て方がニヒルなMr.OZ、相変わらず全然上手くないけどこういう曲では妙な迫力を纏うGanxta Cueも絶好調で、今作のベストナンバー。そしてDJ SIDE-2がプロデュースした「Winning The Case」の力任せなビートも中々良い。珍しくリリックに関しては何の内容もなくペラッペラだが、まぁ間違いなく狙ってのことでしょう。考えなしに頭を振れるアッパーチューンだ。
Mr.OZとGanxta Cueのラップに関しては、これは安定していると言って良いのか1stの頃と全く変わらないんだけど、ちょっとそれを支えるトラックが弱すぎだと思う。ラップの迫力はもう屈指のレベルに達しているのだから、後は音に恵まれれば文句なし。その点珍しくレイドバックした「Dedicated...」なんかも新機軸で良いと思う。目新しかった。しっかしMr.OZのリリック、声はもうそれだけで才能だなぁ。リリシスト。
1.INTRO 2.DA WAY 2 DIE feat.BIG RON 3.OUTCRY-ooh child- 4.PLAYER or PLAYERHATER 5.CLICK DA TRIGGER 6.HATE GAME 7.SKIT-introduce- feat.A-GEE 8.HYDROPHOBIA 9.CRUSIN' WITH MY HOMIES feat.來々 10.SKIT-church- 11.THE BIBLE 12.THE OTHER SIDE OF THE CORNER feat.II-J 13.THE PLAYER'S CHOICE feat.Kayzabro, Ganxsta DX 14.OMERTA feat.LA BONO
ディスク:2 1.213 to tha 052 feat.Frost(DVD)
★★★★★★★★☆☆
名古屋から2005年発売のPhobia Of Thugの1st。とりあえず、Mr.OZとGanxta Cueの二人の迫力が凄い。リリックなんて中学英語がそこかしこに入ってくるし、音の質感、語られる言葉は事前に曲名と参加陣を見れば彼らを知らない人でも全部予想が付くようなベタな内容だらけだし。Gangxta Cueは全然舌回ってないし。でもそんな事を気にすることも無くなるくらいの迫力と緊張感。Ganxta Cueのあの抜けた声でさらさらっとリアリティのあるエグイ言葉を吐かれると背筋がヒヤッとする様な感覚に襲われるし、Mr.OZのハードコアバンドで慣らしたその天性の地鳴りヴォイスの威力についてはもう語るまでもないでしょう。脳みそカラッポなチンピラが逃げのレトリックとして掲げるそれとは緊張感が段違い、これぞ正しいギャングスタラップの姿。
冒頭の「INTRO」から「DA WAY 2 DIE」への流れがもういきなり素晴らしい。ドンキコンピで聴いた時にはそこそこの曲だな、くらいの感想しか持たなかったこの曲が、このイントロを挟むとなんと輝くことか。この辺の作品のきちんとした練り方が、他の批判対象になりがちなギャングスタラップとは一線を画す。Mr.OZもスタンスとしてはギャングスタな立ち位置で英詩も多いけれど、この頃から後々の活動でリリシストとして名を馳せることになる(DABOの「B.M.W.」での仕事なんて素晴らしすぎ!!)その重みのある言葉達を随所で見せてくれる。
特に今作のハイライト「HYDROPHOBIA」でのMr.OZの言葉の置き方は最早才能をもってしてのみ辿り着ける領域。トラックのドラムよりも低音域で唸り続けるため、声がもう音として潰れる寸前なんですが、そんな所を含めて滅茶苦茶カッコ良い。元メンバーであるDJ 4-SIDEのトラックで固めた前半〜中盤で築き上げた緊張感が結実する、クラシックと呼んで差し支えない一曲。今の量産型とは違う、この頃の名古屋が持ってた良さっていうのはこういう曲にあったんだよなぁ。
もうこの緊張感ったら間の抜けた不必要なSkitや、聖書に見立てて静かに人生を説いてくれる「THE BIBLE」を経ても終盤まで途切れることはないですからね。「THE PLAYER'S CHOICE」でいつも通りスムースに流してのんびり帰ってくKayzabroのテキトー感にどれだけ安心することか。名古屋の持ってたイケイケ感が重みを持った言葉、フロウと結びついてかつてない次元に到達した良作。こういうギャングスタラップなら大歓迎ですよ。スピーカーの向こうから刺し殺されかねないこの緊張感を持たせるのはこういうスタイルしかあり得ないわけですし。まぁでもラストの「OMERTA」のLA BONOは不要。
ただ熱心なファンとまではいかない自分はいいんだけど、この1st発売までずっと追いかけて来たファンに対して、DVDも含めた全15曲中、既発曲、SKITが合わせて9曲を占めるアルバムを3150円で売るのはちょっと酷なんではないだろうか。色んな音源から抜き出してアルバムに収録したことによって、曲の製作時期のバラつきにより明らかにMr.OZの声、フロウが違ったりして違和感を覚えることもしばしば。まぁそれでも絶対的に張り詰めた空気が持続してるから問題は無いんだけど。
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